第34話「本の修繕と水ようかん」

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第34話 本の修繕と水ようかん

お嬢様たちに続いて、紫龍とOLが来店した骨董品店。

営業マンが口にした「本の修繕」という言葉に、

お嬢様は興味津々の様子です。

姫・基本

修繕ということは、おぬし、骨董品を直せるのか?

営業マン・基本

趣味のようなものです。ちょっとした傷や汚れ程度ですが、店主に頼まれて僕が修繕作業をしています

執事・基本

だから骨董品店の二階に住んでいるのですね

営業マン・笑顔

骨董品の修繕を引き受ける代わりに、家賃も格安でペットも飼えるので助かっています

姫・基本

それなら、おぬしも店の者ということではないか。わらわたちの荷物を買い取ってくれんのか

営業マン・基本

ですから、僕は修繕のバイト。というより、頼まれたときだけのお手伝いさんみたいなものです。他のことは関与できません

オーナー・基本

修繕とは、具体的にどれくらいなら直せるのですか? たとえば、私が持ち込んだコレは無理としても

OL・悲しみ

お皿が、真っ二つに割れてますね……

執事・怒り

骨董品というより、すでにガラクタじゃないですか

オーナー・基本

とにかく、ジャマなものは手当たり次第に持ってきたので、こういうのも混じってるものです

営業マン・思案

それは確かに修繕できません。もうちょっと、小さな傷なら

姫・基本

これはどうじゃ? どこぞの有名な絵画らしいが、わらわがきんつばをこぼしてしまったのじゃ

執事・悲しみ

お行儀が悪いから、芸術鑑賞のときに食べ物を食べてはダメだとあれほど申し上げたのに……

姫・怒り

過ぎたことをゴチャゴチャ言うな! とにかく、そのきんつばを慌てて拭き取ったら破れてしまったのじゃが

執事・悲しみ

慌てて拭き取ったのは私ですけどね……

営業マン・基本

この程度の小さな傷なら、問題なく修繕できますね。穴をふさいで、色味の調整も簡単に済みそうです

オーナー・基本

その腕を活かして、こちらのお嬢さんと、本の修繕作業を?

営業マン・基本

そうです。ちょっとやっかいな本でしてね。どうしても彼女の力を借りないといけないのです

姫・基本

その本は、おぬしが持ち込んだのか? ただのOLに見えるが、珍しいものを持っていたものじゃな

OL・照れ

あ、あの……正確には私のものではないというか……

営業マン・基本

とにかく、僕は今から彼女と本の修繕作業にかかりますから、皆さんを案内できません

営業マン・照れ

店内の骨董には、目玉の飛び出るような値段のものまでありますし、監督なしで店内をうろつかれても困りますし……

オーナー・基本

ですが、我々もあの大荷物を持って帰るのはゴメンです

執事・基本

私たちなんか、わざわざ海を越えて来ていますからね

姫・笑顔

簡単なことではないか。本の修繕とやらを見せてくれればいいのじゃ。わらわも興味があるからのう

OL・恐怖

ほ、本の修繕をですか……?

営業マン・思案

それはできませんねぇ。あの本は、彼女の個人的なものですから

姫・基本

そこをなんとか。それがダメなら、他の骨董を修繕して見せてくれてもよい

営業マン・基本

今は他に壊れている骨董がありませんから、それもちょっと

姫・笑顔

じゃあ、なにか簡単に壊せばよいではないか。それを修繕するところを、わらわたちが見学する

執事・悲しみ

お嬢様、それはいくらなんでもムチャクチャでございます

オーナー・基本

そうです。お嬢様、私のお店にいらっしゃってはどうですか?

姫・怒り

甘味屋は飽きた。骨董屋のほうが珍しいものがたくさんあって面白い

オーナー・笑顔

まあまあそう言わず。夏に向けて、新作の水ようかんを作っているんですが、ぜひ試食されませんか?

姫・照れ

み、水ようかん……じゅるり

執事・悲しみ

お嬢様、よだれが垂れてございますよ

営業マン・基本

それでは、皆様は甘味屋さんで時間をつぶす。ということで

OL・笑顔

水ようかん……

営業マン・あきれ

あなたまで釣られてどうするんですか

姫・笑顔

しかたがない。甘味屋の和菓子はおいしいからのぅ

オーナー・笑顔

お嬢さんも、一緒に私の和菓子を召し上がりますか? 水ようかんに葛切り、きんつばもご用意していますよ

姫・笑顔

そうじゃ! 甘味屋が店から和菓子を持ってくればよい。ここで甘味屋の和菓子を食べながら、骨董の修繕を見せてもらえばよいではないか

営業マン・基本

ですから、本の修繕は見せられないんです。彼女の個人的なものですから、他の人に見せることはできません

姫・怒り

そんなケチくさいことを言うでない。それとも、緊張して失敗するのか?

営業マン・あきれ

ですから、失敗するとかいう話ではないと何回も言っているじゃないですか

営業マン・思案

執事さんからも、なんとか言って下さい

執事・怒り

お嬢様、あまり無理を言ってはいけません

姫・怒り

しかし執事。これは社会勉強じゃ。わらわは骨董品の修繕とやらを見て、見聞を広めたいのじゃ

執事・笑顔

お、お嬢様が自らお勉強を……! あぁ、やっとお嬢様も、学ぶことの素晴らしさを分かって頂けたのですね……!

執事・基本

ならばこの執事。なにも口を挟むことはできません

営業マン・あきれ

くっ……! これだから人間は……!

オーナー・基本

あなたの本とやらは、よっぽど大切なものなのですね

OL・笑顔

え? そ、そうですね。とても大事なものです

オーナー・基本

なるほど。それなら、確かに人に見られるのは嫌ですねぇ

OL・基本

は、はぁ……。そうですね。できれば、こっそり……

オーナー・笑顔

では、どうですか? 今日のところは、居合わせたお客が悪かったとして修繕作業をしない、というのは?

OL・照れ

えっ? それはどういう……

オーナー・ニヤリ

代わりに、私の甘味屋へいらっしゃい。お嬢さんのために、甘くとろけるような甘味をご用意して差し上げますよ?

OL・恐怖

え、あ、あの……その……

オーナー・基本

もちろん、それだけではありません。私はすべての女性に、癒しを与えたいと思っています

OL・照れ

ちょ、ちょっと……近くないですか?

オーナー・ニヤリ

甘い和菓子と、私の催眠で、あなたに夢のひとときを……

OL・恐怖

きゃっ……!

どんっ!

オーナー・基本

うわーっ!

どんがらがっしゃーん!

OL・照れ

きゃーっ! す、すみません! 男の人に、肩に手を回されることなんか初めてで……! びっくりしてしまって……!

姫・基本

なにごとじゃなにごとじゃ!

オーナー・基本

あいたたた……少し焦りすぎたようですね。突き飛ばされてしまいました

姫・怒り

甘味屋は少し痛い目を見るくらいでちょうどよい

OL・恐怖

あっ……! い、イスが

執事・基本

イス? あ、コレですね。イスの足が折れている

オーナー・基本

そういえば、突き飛ばされたとき、なにかにぶつかって壊した感触が……

OL・照れ

わ、私のせいです! ごめんなさい!

紫龍の強引なナンパのせいで、

お店の売り物のイスが壊れてしまいました。

ですが、どうやらお嬢様が嬉しそうな顔をしているようですよ。

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