第35話「修繕作業」

第35話 修繕作業

紫龍のナンパで壊れてしまった、

骨董品店の売り物のイス。

OLと紫龍が平謝りしていると、お嬢様が口を開いて……

姫・基本

いや、そう悲観せずともよいのではないか?

執事・基本

しかしお嬢様。このイス、なかなかのお値段でございますよ

オーナー・?

これは……イスにしてはゼロが二つほど多いのでは?

OL・照れ

すみません! すみません! 必ず弁償しますから

姫・基本

おい骨董屋。おぬし、このイスを修繕せい

営業マン・基本

このイスを、ですか?

姫・基本

そうじゃ。売り物のイスなら、誰の個人的なものでもない

営業マン・思案

確かに、これだけキレイに折れていれば、案外直るかも……

OL・悲しみ

これ、直るんですか?

営業マン・基本

分かりました。やってみましょう

姫・笑顔

なら、わらわは修繕を見ておってもよいな?

営業マン・基本

あなたが言った通り、これは売り物で誰のものでもありませんから、問題ないでしょう

営業マン・基本

では、道具を取ってきます

OL・笑顔

私も手伝います。見よう見まねですけど、少しはやり方覚えましたから

姫・笑顔

わらわ達は、その手腕をじっくり見せてもらうとしよう

執事・笑顔

骨董の修繕を見る、というのは、意外と珍しい体験かもしれません。私も楽しみになってきました

姫・基本

では、骨董屋が道具を持ってくる間、甘味屋は店までひとっ走り戻って、水ようかんを持って参れ

オーナー・基本

えっ。店からですか?

姫・笑顔

そうじゃ。甘味を頂きながら修繕を見物するぞ

姫・怒り

それに、お前が折ったイスの足を、骨董屋は弁償せいと言わなんだ。礼に和菓子くらい差し入れしてもバチは当たらんぞ

オーナー・基本

それを言われると弱いですね……しかたがない。ひとっ走りしましょう

ダダダダッ!

オーナー・笑顔

お待たせしました。これが新作和菓子です

姫・怒り

遅いのう甘味屋。もう修繕は始まってしもうたぞ

オーナー・基本

わ、わざわざ店まで帰ったのに、遅い……

営業マン・基本

そこ、押さえておいてください

OL・基本

こっち、ネジみたいなのが付いてますけど……

営業マン・基本

それは無視していいです

執事・笑顔

洗練された手つきですね

姫・笑顔

もう、どこから折れておったのか分からなくなってしまったのう

営業マン・基本

もう一つ小さいハンマーでいいです。ちょっと釘を打つだけですから

OL・笑顔

じゃあ、コレですね

営業マン・基本

紙ヤスリの準備をお願いします

テキパキテキパキ

営業マン・笑顔

ふう。ま、こんなものでしょうか

OL・笑顔

直った……直りましたね!

姫・笑顔

見事じゃ! 恐れ入ったぞ

オーナー・笑顔

直ってよかった。私も弁償するには苦しい値段でしたから

姫・基本

おぬし、アルバイトだとか言っておいて、実はプロの修繕屋などではないのか?

営業マン・基本

いえ、ただ手先が器用なだけですよ。あとは慣れです

OL・悲しみ

私も、少しは役に立ったでしょうか……?

営業マン・笑顔

ええ。とても助かりました。家具系の大きなものは、やはり一人だと作業しづらいですから

オーナー・笑顔

お疲れ様でした。ささ、きんつばをどうぞ

OL・基本

ありがとう、ございます

営業マン・あきれ

今回は直ったからよかったですけど、気を付けて下さいね。本来なら、破損は買い取ってもらう決まりですから

オーナー・基本

もちろん気を付けます。あの値段のイスは手が出ませんから

OL・悲しみ

私も、気を付けます……

姫・基本

そういえば、イスを修繕しておったら、こんな時間じゃ。まだ店主は戻らんのか

営業マン・基本

言われてみれば、そろそろ戻るころですね。では、また僕が店を案内しますから、それで時間をつぶしましょう

営業マン・基本

本の修繕はそれから。で、いいですね?

OL・笑顔

はい。大丈夫です

営業マン・基本

それでは皆さん、お店の中へ。売り物を壊さないようにしてくださいね

姫・笑顔

にしても、あの修繕の手際は見事じゃった。骨董なら、なんでもああいう風に修繕ができるのか?

営業マン・基本

壊れ方によります。あのイスも、運良く修繕できましたけど、本当なら傷を隠すのが精一杯ですよ

オーナー・笑顔

では、私は本当に運がよかったわけですね

執事・怒り

あれを買い取ることになっていれば、少しはナンパぐせも収まったかもしれませんけどね

OL・恐怖

でも、そんなことになったら、私が罪悪感で耐えられないかも……

姫・基本

うーん、もう一度くらい修繕作業が見たいのぅ。売り物に、うまいこと傷は入っておらんものか

執事・悲しい

お嬢様、なんと不吉なことを……

営業マン・あきれ

骨董品は基本的に古いものですから、傷はいくらでもあります。それが骨董品のいいところですから、よっぽどでないと修繕はしませんね

営業マン・基本

少し傷ついているくらいの方が、なんでも美しいものです

姫・怒り

しかし、それでは修繕を見せてもらえないではないか。つまらんのう

執事・悲しい

お嬢様。いちおう、いちおう言っておきますが、壊した売り物は買わないといけませんからね

姫・笑顔

分かっておる。壊したら、な

執事・悲しい

あぁ……不吉な予感が致します……

見事な修繕の腕を披露した営業マン。

その華麗な技を見られて、みんな満足したようですが、

お嬢様だけはよからぬことを考えているようです。

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