聴き終わったあとに心が重くなる愛と絶望の官能シチュエーションドラマ
はじめに
『女王蜂の甘美なる交合』、『4色の支配者と反逆の業火』に続くかほく麻緒の正統作
『女王蜂の王房』、『女王蜂の甘美なる交合』、『4色の支配者と反逆の業火』を世に送り出してきたシナリオライター・かほく麻緒。
今回、本人がディレクションし3年振りに挑むのが本作『Bloody Endings』。
おとぎ話でもお馴染み、白雪姫の住む雪の国が舞台だ。
『双子の王子』編には茶介。カインとアベル、双子のキャラクター2役を見事に演じ分ける。
『氷の魔法使い』編では深川緑。ノーブルな雰囲気を漂わせながらも秘密と孤独を抱える魔法使い役を色気たっぷりに演じる。
本作には暴力がふんだんに取り入れられた。
時としてセクシャルな趣向としても表現されるが、最初から登場人物がサディスト的な欲望を持ち合わせていたり、暴力的な人柄だったりするわけではない。
王女は間もなく隣国へ嫁ぐ予定で、婚約者は幼馴染みともいえる隣国の王子。満ち足りた人生、これからも続くはずの幸せな時間――彼らはおとぎ話や童話ならではの美しさ、優しさを持ち合わせている。
では何が彼らの人生を掻き回すのか?
それは誰よりもこの女性に愛されたいという本能にも似た渇望だ。
唯一の愛を求め狂気を帯びていく人間の恐ろしさ、悲しさが本作の醍醐味。その血濡れた愛が迎える衝撃の結末を耳にしてほしい。