[ スペシャル ]
プレリュードSS
ピリピリする頬の内側へ舌を這わすと、鉄臭い血の味がした。
「いってぇ……」
ひとり歩いていた龍之介は、電柱の足下に唾を吐き出す。
衣替えしたばかりの夏服が、土埃と泥水で汚れていた。
ケンカなんて天に唾吐くようなものだ。人を殴って鬱憤を晴らしても、最後には自分に返ってくる。
それなのに不良仲間とつるんでは、あちこち遊び歩いて、ケンカするくらいしかやることがなかった。
学校なんてつまらない。家にも居場所なんてない。
龍之介は自分を持て余していた。
「おう、どうしたその顔」
普段あまり通らない道だった。
しかも夜。こんな場所で人に話しかけられるとは思わなかった。
世話好きな田舎の人間も、体格のいい不良にわざわざ話しかけてはこないものだ。
龍之介は痛む顔を歪めて相手を見る。
紺の作務衣に前掛け。短く切られた頭髪には白いものが混じってみえた。
ここの旅館の板前だろうか。
目の前には高級旅館の裏口がある。
板前は魚のあらを入れたボウルを小脇に抱えていた。魚のあらを無造作に、庭先の生ゴミ処理機にぶち込んだ。
「有り余ってんなあ、お前」
「うるせぇ。他にやることなんざねぇんだよ」
思わず言い返す。
その瞬間だった。少し開いた戸口から温かな汁物の香りがふわりと香ったのは。龍之介の腹の虫がぐう、と鳴った。
「お前、メシ食うか?」
「は……?」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
「腹減ってんだろ? これから賄いだ」
「誰が」
だが、白米の炊ける香ばしい匂いに、さらに龍之介の腹の虫が鳴りだした。
「おお、それが返事か」
それからどうやって中まで付いていったか覚えていない。
気が付くと調理場の隅にあるテーブルにいた。
賄いというから丼物か何かかと思ったら、焼き物に煮物、蒸し物に和え物と、何品もある。
「食え」
つっけんどんに箸を押しつけられ、食べ始めた。
若い食欲に突き動かされ、ひたすら箸を動かす。
不思議だった。口の中は切れて痛いのに、その板前――その時聞いた話によると旅館『潮竜館』の料理長――の料理は信じられないくらいに美味しくて……。
目が覚めた気がした。退屈なこの町に、こんなに深い味の世界があったのかと。
それから龍之介は弟子にしてくれと頼み込み、高校卒業と同時にその店で修行をすることになった――。
けれども料理修業は順調には進まなかった。
早朝からの料理の仕込み、朝晩の膳の準備に後片付けと、旅館の調理場は戦場さながらだ。
時間に追われるぴりぴりした環境で、足手まといでしかない新入りへの風当たりは強い。
そこをどけ! モタモタするな! やる気がないなら出ていけ!
周囲から投げつけられる言葉は愛のないものばかり。
それどころか下手をすれば拳が飛んでくる。
ぐっと堪えるしかなかった。
「つうっ……。やっぱ腫れちまったか」
仕事が終わり、ようやく帰った寮の部屋で、痛む口端に絆創膏を貼った。
夕餉の片付けをしているとき、鍋の洗い方が汚いと難癖をつけられ、三年上の先輩に殴られたのだ。
日本料理の世界では、下積み三年、一人前になるのに十年と言われている。
あの先輩の下で、その時間をやり過ごすと思うとたまらない。
(辞めてやろうか!)
ふつふつと沸き起こる怒りに、救急箱のふたを閉じる手が震えた。
(そうだ、こんな店俺には不相応だった。料理人になれるかもわからねぇ。どうせ続かねえ!)
胸の中で、呪詛を吐き散らしていたとき――。
――りゅうにい。
鈴のような声が聞こえてハッとした。
小さな盆を手にやってくるのは、この旅館のお嬢さんだった。お嬢さんといってもまだ年は十歳そこそこだ。
――おにぎり、一緒に食べよう。
彼女が座卓に置く。おにぎりはいびつな形をしているけれど、丸くて小さくて、彼女自身のようだった。一方で、龍之介がとっさに鏡を見ると、自分の顔は怒りで歪んでいる。龍之介は息を深く吐いて、精いっぱいの笑顔を彼女に向けた。
「いいんですか? 俺が食べても」
こんな特別なおにぎりを、何者にもなりきれない自分が食べてしまうのは申し訳ない。
彼女が小さな手にひとつとって、龍之介の顔の前へ差し出した。
その健気な仕草を見るとたまらなくなってしまい、龍之介は受け取ったおにぎりをおずおずと口に含む。
優しい味のおにぎりが、口の中でほろりとほどけた。
思わず涙が出そうになる。
潤む目をごまかすように問いかけた。
「美味いです。女将さんと作ったんですか?」
すると彼女はこういった。
――うん、りゅうにいが作ってくれるの思い出して作った。
血もつながってないのにりゅうにい、りゅうにいと名前を呼んで、毎日慕ってくれる、その少女が愛おしかった。
(俺が辞めたら……がっかりさせちまうだろうな……)
おにぎりを噛みしめながら、龍之介は数分前の決意をひるがえす。まだ辞められない。
お嬢さんの健気な想いを、何があっても裏切りたくないと思った――。
あれから十数年。
耐え抜いた龍之介は、一人前の板前になった。
一方お嬢さんはすっかり大人になって、都会の会社で働いている。
盆正月に帰省する彼女と顔を合わせるのが、今の龍之介にとっては小さな楽しみだ。
「龍之介さん聞いた? お嬢さん帰ってくるって」
ある晩、宴会場の片付けをしているときに、年配の仲居から聞かされる。
膳を重ねて持つ手が止まった。
「え……。今年は早いですね、いつもなら帰ってくるのは盆なのに」
「そうじゃなくて……」
なんでも女将が倒れたことをきっかけに、跡継ぎ候補として呼び戻されるらしい。
「ってことはお嬢さん、この旅館を継がれるんですか?」
「まだ決まったわけじゃないみたい」
仲居にそう言われ、龍之介ははやる胸の鼓動を抑える。
でも……。
お嬢さんと一緒に働けるなら、焦らず腐らず料理人を続けてよかったと思う。
彼女がいたから続けられた。今の龍之介があるのは彼女のおかげだ。
龍之介はその事実に思いを馳せる。
「……帰ってくるんだ……」
膳を下げる廊下でひとりつぶやくと、あの頃のおにぎりが、口の中でほろりとほどけた――。
その頃、田舎の映画館といったら狭くて暗くて音響もイマイチな場所だった。
北の温泉街に伸びる映画館の裏通りには怪しげな看板を掲げた店が立ち並び、夜になると妙な活気を帯びる風俗街があった。昼間はひっそりとしているくせに、町の秘密めいた空気の一部となっていた。
そのくせ鑑賞料は都会と変わらない。今から十年前、大人1800円、学生1500円だったと思う。
そんなパッとしない映画館が、十七歳の町宮朔にとっては居心地のいい場所だった。
理由は当然映画が好きなこともあったけれど、同じアルバイトの彼女と過ごすひとときが、朔にとって幸せな時間だったからだ。
一つ年下の彼女とは、好きな映画の話題を中心に、気軽になんでも話せる仲だった。
昭和の時代に建てられた映画館の入り口には、レトロな書体で「いらっしゃいませ」の文字が躍っていた。朔はその文字を見るたびに、この古びた映画館の温もりを感じるのだった。
その午後、彼女は受付に立ち、朔は「いらっしゃいませ」の文字を横目に建物前の道を掃いていた。
いつも通りの何もない平日かと思ったら、めずらしいやつらが朔のいる映画館を訪れる。
「やあ、朔くん。今日バイト?」
同じ高校の、あまり評判のよくない先輩たちだった。
朔は彼らと深い付き合いがあった。周囲から見れば朔自身も、彼らの不良仲間に当たるのだろう。酒びたりの父親を探しにパチンコ屋を巡り歩くうちに、この界隈に詳しくなり、尊たちとの付き合いにつながったのだ。後輩にあたる彼女がそれを知らないのだけが朔の救いだった。
「ああ、尊先輩。今日は何か用っすか?」
朔は軽く会釈をしながら、内心で緊張していた。
尊という名の先輩は不良グループのリーダー格で、地元の有力者の息子だ。彼が声を荒げるのを見たことがない。品行方正で教師からの信頼は厚く、親から守られ、そして――本性は腐りきっている。そういう男だった。朔は彼に様々な「サービス」を提供してきた。
「ね、この前紹介してくれたオネーサン、すごく良くてね。今日はこいつらにも、と思ってさ」
尊の言葉に、朔は表情を変えずに応じた。
「あー、本当ですか、嬉しいな。でもあの人、まだ出勤してないんじゃないかな……」
ところが尊の目が受付にいる彼女に向いた。
「あの子かわいいね。あの子も紹介してくれない?」
その瞬間、朔の中で何かが凍りついた。
「いや、あいつはダメですよ」
朔は必死に笑顔を保ちながら答えた。
「なんでだよ。もしかしてお前の女?」
別の先輩が意地悪そうに言う。
「付き合ってないです。ただのバイト仲間」
事実だった。
けれど好きなのかと聞かれたら、答えはイエスなんだろう。みすみす他人に渡すことを考えたら、耐えられないくらいに胸が苦しいのだから。
「やめなよ。朔くんが困ってるじゃないか。じゃ、またね、朔くん。お仕事頑張って」
尊は少し残念そうに肩をすくめて笑った。同級生が尊の笑顔ひとつにきゃあきゃあ騒いでいるのを見たことがある。それも頷けるような一点の曇りもない笑顔。
それから立ち去る先輩たちと入れ違いに、彼女がカウンターを離れてやってくる。
――大丈夫? あの人たち。
通りの角を曲がっていく先輩たちの背中を、彼女の視線が見送った。
「なんでもないよ、世間話してただけ」
ウソだと勘づいているんだろう、彼女は心配そうな顔で朔を見つめる。
「それより、この前言ってたパニック映画!」
朔は話を逸らすため、ふたりの間で話題のB級映画のタイトルを口にした。
「前に録画した続編のビデオが見つかったから、時間あるときウチに来いよ」
苦し紛れの誘いだった。けれど彼女は意外にノリノリでうなずいてくれる。
「貸りてく? それともウチの談話室で観る?」
図らずも、バイト後の彼女を自宅へ招くことになった。
朔の実家は民宿を経営している。昔ながらの日本家屋の余っている部屋を、旅行者に貸しているのだ。
彼女を招いた談話室も、民宿の共有スペースの一部だった。
骨董品に近いVHSのビデオデッキが談話室にはある。
「ほらあった、こいつだ」
手書きのシールを確認し、棚からビデオテープを引き出す。
今日は民宿の客もいないから、彼女とふたりでゆっくり映画を観られるはずだ。
ところが冒頭数分のところで、思わぬ闖入者が現れた。
酒の匂いを漂わせた朔の父親だった。
「なんだ、いっちょ前に女なんか連れ込んで。ちょっと見ない間に大きくなったなァ」
「うるさい、出てけよ」
普段は家へ寄りつかない父親が、こういう時だけ顔を出すなんて最悪だ。
朔は力尽くで父親を部屋の外へ押し出す。
「なんだ、それが親に対する態度か!」
「親なら家に金入れろ!」
この家の生活費は朔の母親が、民宿で細々と稼ぎだしたものだった。けっして楽な生活じゃない。
それを思うと本当に、だめな父親の存在が腹立たしい。
父親は散々わめいて部屋を出ていく。
「ごめん、イヤなとこ見せちゃって……。ウチ今、こんなでさ……」
落ち込む気持ちのまま謝ると、彼女は朔の言葉を遮るように、はっきりと首を横にふった。
――いいよ何も言わなくて。わかってる。
彼女の視線は、部屋の隅に寄せてある本の束を見ていた。
高校二年の朔が受験に備え、夜な夜な取り組んでいる参考書だった。朔は今の生活を変えるため、大学へ進学し身を立てようとしていた。
いつも映画や音楽の話ばかりで、受験の話なんてほとんどしたことがなかったのに……。彼女は朔の思いに気づいてくれていたらしい。
胸にこみ上げてくるものがあった。
「俺、お前のこと……」
好きみたいだ――そう伝えようとしたとき。
部屋の外から、激しく言い争う声が聞こえた。
酔った父が、母とケンカをしているらしい。
「いや、こんな状況じゃあな……」
告白どころか、映画を観ることもできない。
その日は結局、映画鑑賞をあきらめ、彼女を家まで送ることになった。
それから数日後だった。朔たちの暮らす小さな町が被災したのは――。
幸い彼女とは避難先の遊園地で顔を合わせた。
遊園地のある高台で不安な夜を照らす焚き火を見つめ、どちらともなくふたりは言った。
――十年後、誰とも付き合ってなかったら付き合おう。
未来が明るいことを信じて、そう伝えるのが精一杯だった。
人生はままならないことばかりだ。先は見通せない。
でも十年……。十年あれば何か変わるだろうか。
そして約束の十年後――。
朔の暮らす民宿で、小さな宴会が開かれていた。
地元のおじさんたちと、それから地元へ戻ってきた人たちと。
その中に彼女がいた。
被災後、都会へ引っ越してしまい、もう戻ることはないと思っていた彼女が……。
愛想よくお酌をしている彼女を廊下から見て、朔の胸は高鳴る。
彼女にどう声をかけよう。
彼女は昔のように微笑んでくれるだろうか。
ふたりの物語が、また動きだす――。
うだるような暑さの中、街路樹に留まったセミがジリジリと鳴いている。
その午後、十七歳の岡崎耀司は幼なじみの彼女と、学校近くの歩道を歩いていた。
「……あっつ! 夏は暑いから学校休みなのに、塾の夏期講習はあるってなんなんだろ……」
一年半後の大学入試が恨めしい。
「そうだ、聞いたか? 尊のやつ、推薦入学ほぼ確定だって。東京の大学だって」
耀司は自分の顔が日陰になるよう後ろを向いて歩きながら、幼なじみの彼女に話しかけた。
耀司たちと一年上の尊とは、小さい頃からよく三人でつるんでいた。
けれども年上の尊は一足早く大学進学を決め、この町を離れていってしまうことになる。
聞いた、と物憂げな顔で彼女は言った。
それから考え込むようにうつむいてしまう。
「……どうした?」
彼女は一旦足を止め、意を決したように耀司を見上げた。
――実は、尊に告白したいと思ってる。
告白、という言葉を聞いたとき、耀司の心臓は一瞬動きを止めた。
彼女が尊に思いを寄せていることは耀司も知っていた。一緒にいればいやでもわかってしまうものだ。十七歳の恋なんて。
それにそんなニュアンスの話を、彼女は何度か耀司にだけ匂わせていた。
でもついに、告白か。
耀司は胸の痛みをこらえ、ふうんと小さく相づちめいた息を吐く。
――どう思う? OKしてくれるかな?
「どうだろ……」
彼女の問いに、耀司は曖昧な返事しかできなかった。
尊はいわゆるいいところの坊ちゃんで、皆のリーダー的存在だった。女子から見れば王子様なんだろう。人当たりもいいし、モテないとは思えない。
それでも幼なじみの彼女のことは、尊だって大切に感じているはずだ。
そして耀司も彼女の相手が尊なら、秘めた想いを隠し、身を引けると思っていた。
「わかった、俺から探りを入れてみるよ」
耀司は小さく胸を叩く。
そして推薦入学が決まって羽を伸ばしているだろう尊にメッセージを送った。
耀司が尊と落ち合ったのは、行きつけのショッピングセンターだった。
中に入って涼みつつ入り口から外を見ていると、真新しいベンツが駐車場へ進入してくる。重厚感のある黒の車体に初心者マークがなんとも危なっかしい。
耀司が呆気にとられて見ていると、なんと運転席に乗っているのは他でもない尊だった。
ガラス越しに目が合い彼がにやりと笑う。
「すごいでしょ。早いけど推薦祝いだって親が買ってくれたんだ」
ショッピングセンターの入り口前に車を横付けし、降りてきた尊が車体をなでる。
一緒に育った幼なじみではあるけれど、やっぱり尊とは住む世界が違うと思い知らされる耀司だった。
「乗せてやるよ。ドライブ行こうぜ」
尊が誘う。
フードコートで飲み物でも飲みながら話そうと考えていたが、話をするなら車の中でも構わない。耀司は誘いに乗って、ベンツの助手席に乗り込んだ。
真新しい車の中から見慣れた町の景色を眺めながら、耀司はさりげなく話題を振る。
「お前、好きなやつとかいねえの?」
運転席の尊は耀司をちらりと見て、意味深な笑みを浮かべた。
「もしかして、彼女のこと?」
幼なじみの彼女の名前が挙がった。
「――俺のこと好きそうじゃない? 告白されたら付き合っちゃおうかな」
彼女の好意に、尊も気づいているようだ。耀司は一瞬反応に困り、ハンドルを握る彼の横顔を見つめた。
「付き合うのか?」
「向こうがその気なら。それともなんか問題ある?」
「いや、お似合いだと思うよ」
言いながら、胸の中がザワザワする。
彼女が好きなのは尊で、尊もまんざらでもない様子で。だったら耀司は、ふたりを応援する他ないのに……。
嫉妬しているわけじゃない。ただ、心配だった。尊の態度が軽すぎる気がして。
「俺たち三人幼なじみだろ? だから尊、あいつのこと、大切にしてやってくれよ」
耀司は探りを入れるように口にする。
「もちろん」
尊は肩をすくめた。
「あとあいつと付き合うなら、ヘンな先輩たちと絡むのもやめろよ。尊と一緒にいてあいつが変なことに巻き込まれないか心配だ」
「はいはい、わかったよ」
過保護だなあと言って笑われる。
そうかもしれない。付き合うかどうかはふたりの問題で、耀司は幼なじみとはいえ外野なのだから。
それから間もなく尊と彼女は付き合い始め、ふたりが一緒にいるのを見かけることが多くなった。
身を引く形になった耀司はそっと見守るつもりでいたのだが……。
そんなある日、予期せぬ出来事が起こった。
あれから十年が経った。
耀司には誰にも言えずにいることがある。
この十年、吐き出したくても吐き出すことができなかった。
この十字架は人知れず、永遠に背負っていくしかないのかもしれない。
そんな耀司の前に再び彼女が現れ……。
物語はもう一度動きだす――。
そのとき雁谷豊は陸上自衛隊の、人員輸送車に乗っていた。
車内には豊と同じ立場――つまり自衛官候補生としての訓練を終えた仲間が二十名ほど。
豊たちは基礎訓練と専門訓練を終え、初めての赴任先となる駐屯地へ向かっていた。
車窓の景色は街の喧騒を離れ、静かな田園風景に変わっている。
前方へ目を転じると、深い緑に覆われた山々が迫っていた。
あの山の向こうにある駐屯地に到着すれば、任務を与えられた一人前の自衛官だ。後戻りはできない。
けれど豊の心は躍っていた。
自衛隊は過去を乗り越え、新しい自分になるための夢であり、希望だった。
その夢が今叶おうとしている――。
車窓を開けて深呼吸し、山々を覆う力強い針葉樹の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
駐屯地に到着すると、まずは隊長からの歓迎の挨拶と簡単なオリエンテーションが行われた。
その後、隊員たちはそれぞれの部屋に案内され、荷物を整理する。
部屋は二人部屋。同じ新入隊員である鳩川が一緒だった。
「雁谷豊だ、よろしく! 訓練中も何度か顔を合わせたよな?」
豊が右手を差し出すと、彼はその手をしっかり握ってくれる。
年は三十くらいだろうか。新卒で入隊する者が多い中、中途同士はそれだけで親近感が湧いた。
「よろしく雁谷くん。前から話してみたいと思ってたんだ。前職は何を? なんとなく人と関わるのが好きそうだから、そうだな……医療系とか?」
聞かれて豊は笑いながら答える。
「残念、はずれ! 漁師だよ」
「漁師!?」
こういう話の時に、当てられたことはまだ一度もない。思った通りの反応が返ってきた。
「へえ、漁師かあ。家の船を継いだとか?」
「それがさ、地元の魚がホントにウマくて漁業会社に就職を。単に食いしん坊なんだ」
ふたりハハハと声を上げて笑い合い、彼とはすぐに打ち解けた。
翌日から本格的な訓練が始まった。
体力トレーニング、戦術訓練、災害救助のシミュレーション……。自衛官候補生の頃とは質の違う、より実践的なものだった。
その日は土嚢を背負い、物資を運ぶ訓練が行われていた。
「くっそ、肩がパンパンだ……! この荷物、一回下ろしていいか?」
物資を背負って山道を歩く工程の途中、鳩川が悲鳴を上げる。
「下ろしたら罰としてそれ背負ったまま、腕立て伏せ百回だってよ。他のやつが言われてた」
豊が苦笑いで教えた。
「うぇえ、マジか」
「がんばろ! 助けを必要としている人たちが待ってるぞ!」
励ますように鳩川の肩を叩き、豊は自分の肩と足にも力を込める。
「助けねえ……」
後ろで鳩川がぼやいた。
これは訓練だから、助けを求める人なんてどこにもいない。その通りだ。
それでも豊の脳裏には、待っている人々の顔がありありと浮かんでいた。
「俺さ……、少し前に助けてもらったんだよな」
「え……?」
豊が話しだすと、さっきまでぐったりしていた鳩川の目に輝きが戻る。
「大変な状況で、先が見えなくなってた時に……この迷彩柄の制服を着た人たちが来てくれたんだ。物資を運んでくれて、声をかけてくれて。あの時の安心感は今でも忘れられねえ。本当に頼もしかった!」
そのとき見た光景は、今も豊の記憶の中でまるで昨日のことのように鮮やかだった。
「俺も困った人のところへ駆けつけられるようになりたい。それで目指したんだ」
「そうだったのか……」
鳩川が噛みしめるように言った。
「だったら俺たちもこの荷物、目的地までしっかり運ばなきゃな!」
大地を踏みしめまた一歩大きく踏み出す。
「ああ、一緒にがんばろう!」
それからふたりは競い合うように足を進め、他の隊員たちより早く目的地に到着した。
こうして自衛官としての道を歩み始めた豊だったが……。
数年後、訓練中に足を負傷し、その道が断たれてしまうことになる――。
「じゃあ右足から……。いち、に……、いち、に……。はい、いいですよ。そこで止まってー」
理学療法士の声が覚束ない歩みのリズムを取る。
豊は自衛隊病院のリハビリ室で、歩行器を使った歩行訓練をしていた。
手術から二か月。自由に動かない足を前に困惑するばかりの日々だ。
リハビリは厳しく、進歩は遅々としていた。それでも豊は諦めなかった。
「一日一歩でも前に進もう」そう自分に言い聞かせながら、毎日の訓練に励んだ。
ある日、理学療法士が豊に尋ねた。
「雁谷さん、これからどうしたいですか? 完全に元に戻すのは難しいかもしれません」
豊は考え込んだ。確かに、自衛隊は夢だった。でも、本当に大切なのは人々を助けたいという思いだ。これから先も終わらないリハビリを続けるつもりは豊にはない。
「そうですね。他にも人の役に立つ道はあるはずですよね」
その日を境に、豊の心に新しい可能性が芽生え始めた。
例えば前職である漁師なら、走れなくたって船には乗れる。
他の仕事でももちろんいい。働けば社会の役に立てるのだから。
未来への希望が湧いてきた。
「よし!」
歩行器を押し、ゆっくり一歩ずつ、また歩き始める。
それから漁師に戻った豊は、自分にできることがあるはずだと、地元の手伝いをする日々を過ごしていた。
そんな中で出会ったのが、鳥類学者を目指す彼女だった。
SNSでガイドの募集に応じ、野鳥の生息する「蓮沼」へ案内したのがきっかけだった。
「なんで俺をガイドに選んでくれたんですか? 貴女たちの募集に応募してたの、他に何人もいたし。選ばれたのが正直不思議で――」
その問いに、彼女は豊の名前に『雁』が付くからだと答え、鳥の雁(ガン)についてあれこれ教えてくれた。
豊は鳥のことなんて少しも詳しくないけれど、好きなものについて一生懸命語る彼女に特別な親しみを覚えたのだ。
別れたあと何度も思った。またあの子の瞳の輝きを見てみたい。
何かに夢中になる姿は、どんなきれいな宝石より人を輝かせるみたいだ――。
そんな彼女がもう一度、豊の住む潮見台へやってくる。
豊の誘いに乗り、夏の蓮沼を見に来るのだ。
彼女を思うとどうしてか、自衛官になりたての頃、赴任先へ向かう人員輸送車の中で感じたワクワク感を思い出した。
この先もきっとワクワクするような未来が続いていくに違いない。
季節は夏。豊は無人駅のロータリーで胸を高鳴らせ、再会の時を待っていた――。
キャストインタビュー
一之瀬昴さん / 恩田龍之介 役
――収録ありがとうございます。お疲れさまでした!
――一之瀬さんは『大人の夏休み』 シリーズ初参加となりますが、この企画についての印象や感想を教えていただけますでしょうか。
「夏休み」や「夏」という言葉が持つ、子供の時のワクワク感、楽しいことや心躍ることが待っていると思う感覚って、大人になるにつれて無くなってくると思うんですけど、このシリーズは全体を通して、子供の頃に抱いていたワクワク感や「何かあるかもしれない」というようなみずみずしい感じが全体的にあるなと感じました。展開的にもそんな気持ちを思い出させていただきましたし、この『大人の夏休み』シリーズにはそんなドキドキする空気感があるなと思いました。
――演じられたキャラクターの魅力をお伺いできますでしょうか。
彼は元ヤンにもかかわらず料理長の腕に惚れ込んで料理の道を究めようとしているというのが、彼自身の真っすぐさと言うか素直さを表している気がします。だからこそ彼の融通が利かないようなところも、彼の一本木で真っすぐなところ故のことだと思います。そしてそのせいでヒロインと衝突してしまうところも、彼の可愛い魅力だなと思います。
――恩田龍之介を演じるにあたって心がけた点や難しかった点、または演じやすかった側面などありますでしょうか?
彼自身竹を割ったような性格なので変な駆け引きとかも全くなかったですし、自分のお芝居する中の感情の赴くままに、彼の感情のままにやれたのはすごく演じやすく、面白かったなとも思いますね。
――今回の収録で印象に残ったシーンや台詞はありましたでしょうか? また、聞きどころをぜひご紹介してください!
シチュエーションボイスなので基本的に全編を通して彼とヒロインの関係性にクローズアップされることが多いですが、彼自身を縛っている料理長への恩であるとか、旦那様に対して「間違ったことをしたくない」という想いがあるからヒロインと衝突する、といったシーンが随所にちりばめられています。彼が他の人とどういう風に関わっているのかがなんとなく想像できるシーンや彼自身の言葉から伝わってくるシーンを探して、彼の声色や心の変化も楽しんでいただけたら、彼をより多面的に見つめられるんじゃないかなと思います。
――本シリーズは田舎町を舞台にしておりますが、田舎にまつわる思い出がありましたら教えてください!
田舎は、夏休みとかにおじいちゃん・おばあちゃんの家に帰省した、というようなことが多いでしょうから、田舎にまつわる思い出と言われると「夏」「川遊び」「虫取り」といった印象ですね。
――龍之介とヒロインの二人へ向けて、何か言葉をかけていただけますでしょうか!
龍之介はかなり真っすぐなやつで融通が利かないところがかなりあると思うので、ヒロインもこれから過ごしていくにあたって「こういうところが龍之介君っぽくていいな」と思うところもあれば、逆に「だから嫌なんだよ」と思うこともあると思います。しかしお互い、最初に思った相手の良いところや好きなところを忘れる事なく、これからも互いを大切にし続けていってほしいなと思います。
――最後に、CDの発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!
夏が来ると無条件に開放的になったり、気分がワクワクしたりということが皆さんあると思うんですけど、この『大人の夏休み』シリーズは、そんなワクワク感や「何かが起こるかもしれない、楽しいことがあるかもしれない」という気持ちの具現化のような作品ではないかと思っています。ぜひこの作品を聴いて楽しんでいただいて、ご自分の日常生活や夏休みを楽しさ溢れるものにしていただければと思いました。ヒロインは都会にいたままじゃ龍之介との再会も無かったわけですし、やっぱり一歩を踏み出すことによって龍之介とこういう関係性になっているわけなので、皆さんもこの作品をきっかけに、ちょっと海に行ってみようとか、山に行ってみようみたいなことを、夏に何かひとつチャレンジできる元になってくれればいいなと思います。
冬ノ熊肉さん / 町宮朔 役
――収録ありがとうございます。お疲れさまでした!
――冬ノ熊肉さんは『大人の夏休み』 シリーズ皆勤賞ですが、第4弾の印象や感想を教えていただけますでしょうか。
気がつけば前の3作とも違った役をやらせていただきまして、こうやって全シリーズ呼んでいただけるのもありがたい限りです。今までと一番違ったなと思うのが、ヒロインが田舎に帰ってくる理由が、都会に疲れてとか、ちょっと心が苦しくて、ではなく、ある種【彼を救う】ために帰って来てくれたというところです。ベースの導線になる部分がいつもよりも癒し寄り、重たい・ヘビーな作品になっていた印象ですね。
――演じられたキャラクターの魅力をお伺いできますでしょうか。
朔は見る場所によって印象がすごい変わる人間だなと思っています。ヒロインは朔と先輩後輩の関係で学生時代を一緒に過ごしていて、彼が良い素敵な人間だから、久しぶりに会ってもラフに接することが出来る人ですし、民宿という場所にいるおじさんやお客さんたちにとっては気安いお兄ちゃんっていう面もありますよね。
しかし、彼が抱えている仕事では、どうしてもにじみ出てくる雰囲気があると思うので、彼の素を知らない・彼の家のことを知らない人からすると、とんでもなく怖さも感じるだろうし、得体の知れない人に感じると思います。
彼のバックボーンや彼がどういう生き方をしていたのかなど、朔の人生のどこと接しているのかで見え方が全然違います。そこが彼の魅力です。
――町宮朔を演じるにあたって心がけた点や難しかった点、または演じやすかった側面などありますでしょうか?
再会した直後はあくまでラフに話す、というのは最初イメージしていました。朔の中では多分「彼女が久々に帰ってきた。会えた」っていう嬉しさもあるだろうし、民宿の町宮さんとこの“あんちゃん”ってかなり親しみやすいからこそ、子供っぽくならないようには気をつけていました。“町宮んとこのお兄ちゃん”としてご近所との繋がりも強いでしょうから、気やすい兄ちゃんだけど、色んな経験をしているからこその大人な感じは出るように心がけました。逆に、彼が後半いろんな感情や状況を吐露していくシーンは難しいところでしたね。
――今回の収録で印象に残ったシーンや台詞はありましたでしょうか? また、聞きどころをぜひご紹介してください!
懐かしの場所で、ヒロインの言葉に最初彼は浮足立つんですけど、その後に続く言葉で、朔は自身の状況も相まってどんどん自分が問い詰められているように感じて……というところから始まるあのシーンは、今までの『大人の夏休み』シリーズに無かったなと思いました。ヒロインのしんどい・辛い・苦しいを受け止めるんじゃなくて、彼の「苦しい」がぽろぽろと零れていきながらヒロインにぶつけてしまうっていうところは、朔もしんどかっただろうなと思います。演じていてもやっぱり心がどしんと重くなりました。という点であのあたりのシーンは印象に残りましたし、ある種、町宮朔と『大人の夏休み』の重要なポイントなんじゃないかな、という風に思います。
――朔とヒロインは映画好きという共通の趣味がありますが、映画にまつわる思い出やこだわりなどありましたら教えてください!
私の地元は特に田舎というわけではなく、映画館もそれなりにはありました。しかし、学生の頃、見たいと思った映画が地元の映画館でやっていなかったので、自転車で2、3時間かけて、汗だくになりながら上映している映画館まで観に行った思い出はありますね。
――朔とヒロインの二人へ向けて、何か言葉をかけていただけますでしょうか!
言葉にするのが大切だと思います。「好き」などの相手に思ったこと、相手を想った言葉をお互いにかけあってほしいです。
――最後に、CDの発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!
ありがたいことに、まさかまさかの『大人の夏休み』シリーズ皆勤賞というところで、自分自身もびっくりしているところがあります。今作は、これまでの3シーズンとはまた違って、お聴きの皆様もずしっと胸に来るようなところもあるんじゃないかなと思いました。その他のお三方がどういう話になるかは私も詳細を知らないんですけれども、また、1、2、3、シリーズ目とは違った、この『大人の夏休み4th』でしか聞けないエピソードやメッセージ性が色々あると思いますので、楽しんでいただければ幸いでございます。
恋津田蓮也さん / 岡崎耀司 役
――収録ありがとうございます。お疲れさまでした!
――恋津田さんは『大人の夏休み』シリーズ初参加ですが、この企画の印象や感想を教えていただけますでしょうか。
このシリーズはずっと夏を舞台にしているということなんですけど、夏ならではのストーリーや一人一人の性格などの設定が細かいなと思いました。自分で役作りすることほぼないじゃんっていうくらいキャラ設定が細かく書いてあって、すごくやりやすかったです。ストーリーの雰囲気とかもアンニュイさを感じると言いますか、企画書にもノスタルジーと書いてありましたけど、若干の切なさを帯びた夏の終わり頃という印象を受けました。あの独特な雰囲気が脚本に起こされていて「すごいな」という印象を感じましたし、キャラクターの個性も設定でわかりやすかったですし、素敵だなという印象を受けました。
――演じられたキャラクターの魅力をお伺いできますでしょうか。
設定には普段は寡黙でちょっとクールめと書いてはありましたが、ヒロインに向けては違うのかなと僕は思っていました。久々に会って姿は成長して変わってますけど、ヒロインと話す時にちょっと顔が崩れたり、冒頭の耀司君は少し暗いけれどもヒロインと話していくうちに顔が若干ゆるんできたり、そんなところに子供らしさを感じるギャップがあると思っています。
――岡崎耀司を演じるにあたって心がけた点や難しかった点、または演じやすかった側面などありますでしょうか?
ストーリーの中で凄くクールなシーンはあまり無かったので、他に魅力を出せるようなところって何だろうと思いながら演じました。先ほどもお話しした、見た目も声も大人な雰囲気だけれど、ヒロインと話す時にちょっと笑い顔がくしゃっとなるようなギャップを魅力として出せていたら嬉しいです。
――今回の収録で印象に残ったシーンや台詞はありましたでしょうか? また、聞きどころをぜひご紹介してください!
行為のシーンでキャラクター性を出すというのは僕は結構難しいと思っているんですよ。セリフが入ってきたりするのは置いておいて、息遣いは人それぞれ違う特徴を持っているので、そのキャラクターがしそうなイメージを持って演じています。耀司君がヒロインに興奮した時、どんな風に気になるのか、ちょっと狼っぽくなるのか、大人の余裕があるのか、それとも抑えられない人になるのか、など色々あって。それによって結構息遣いとかも変わってくるので、違いを聞いていただけたら嬉しいです。あと、すごく激しくなりそうな時の息と、いい雰囲気になりかけの時の息の違いとかも感じていただけたらと思います。
――耀司は遊園地で働いていますが、遊園地にまつわるこだわりはありますか?
ジェットコースターにはよく乗りますが、あれっていつ壊れるか分からないじゃないですか。最初に上がっていく時に、ガチャガチャガチャって音が鳴ると思いますが、その時に、ガチャガチャガチャ以外の、ミシミシみたいな音がする時は「本当に点検してる?」と感じて怖くなる時はありますね。基本的に怖いものはダメなんですが、ジェットコースターは大丈夫なんですよね。お化け屋敷とかが苦手で、怖がらせてくるのが演者だというのも分かっているんですけどあの雰囲気がダメなんですよね。
――耀司とヒロインの二人へ向けて、何か言葉をかけていただけますでしょうか!
過去より未来、これからの時間のほうが多くなるといいなと思います。
――最後に、CDの発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!
僕はこのシリーズ初参加ということなんですけども、脚本やストーリーがかなり細かく設定してあって、すごく素敵な内容になっております。聴くなら、夏の終わりか、夏ぐらいに是非聞いてみてほしいです。自分をヒロインに投影して、夏の匂いや雰囲気を感じていただければなと思うので、発売を楽しみにしていてください。
ドレミファソラ夫さん / 雁谷豊 役
――収録ありがとうございます。お疲れさまでした!
――ドレミファソラ夫さんは『大人の夏休み』 シリーズ初参加となりますが、この企画についての印象や感想を教えていただけますでしょうか。
大人になった今だからこそ夏休みを謳歌したいという方も多いと思いますので、そんな方の気持ちに応えられる素敵な企画だなと思いました。
――演じられたキャラクターの魅力をお伺いできますでしょうか。
元自衛官そして現在漁師ということで、体格や経験もあいまって、すごく頼り甲斐のある人物だと思います。何かあった時にすぐに助けてくれるという安心感が、彼の魅力だと思います。
――雁谷豊を演じるにあたって心がけた点や難しかった点、または演じやすかった側面などありますでしょうか?
やはり元自衛官そして漁師、身長も187cmで見るからに体格が良いので、体格の良さというのを常に意識して演技をさせていただきました。そこが難しかったところですね。体格を意識しすぎるとわざとらしくなってしまうので、自然とそういう人物として演技するというのが難しかったですし、心がけた点であります。真っすぐな人物なので、そこは変にひねらずに真っすぐに演じることができたという意味では演じやすかったと思います。
――今回の収録で印象に残ったシーンや台詞はありましたでしょうか? また、聞きどころをぜひご紹介してください!
ステラワース特典の『パンダカーは振動がすごい』になるんですけれども、よく見かける動物の遊具をまさかそんな形で利用するとは、というのはすごく印象的でした。本編に関しては、最初はガイドとして登場した豊が、どんどんヒロインとの距離を縮めていく過程の部分をぜひ楽しんでいただきたいなと思っております。
――漁師の豊にちなみ、好きな海産物や海鮮料理を教えてください!
生牡蠣が好きですね。生牡蠣に限らず調理した牡蠣も好きなんですけど、特に生牡蠣が好きかなと思っております。
――豊とヒロインの二人へ向けて、何か言葉をかけていただけますでしょうか!
これからも、2人でお幸せに。
――最後に、CDの発売を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします!
皆様CDの発売を楽しみにしてくださってありがとうございます。この作品は、大人になった今だからこそ夏休みを楽しみに思う気持ちというのは忘れがちだと思うんですけれども、大人の皆さんに夏休みのワクワク感を取り戻させてくれるような、そんな作品になっていると思いますので、ぜひこの作品で楽しい夏休みを過ごしてください。
ムービー
恩田龍之介(CV.一之瀬昴)試聴ムービー
町宮朔(CV.冬ノ熊肉)試聴ムービー
岡崎耀司(CV.恋津田蓮也)試聴ムービー
雁谷豊(CV.ドレミファソラ夫)試聴ムービー