子供の頃、家が流された。
目の前で大事なものが全て濁流に飲み込まれる。
やがてあの町へ続く線路は錆びて朽ち果てた。
そんな場所が日本にも世界にもたくさんあるのだと、大人になって知った。

土砂降りを呪っても、力を願っても
夏は巡り、空は高く
道端のアザミは白と紫の花を咲き誇らせる。

握ったその手が次の瞬間
どうなるかもわからないまま、
俺も君も、見知らぬ誰かも――変わった。

「おーい、あんまり先行くなって言っただろー！」

ああ――君の笑顔だけが色褪せない。
そして――そして今、君をただ、愛してる。