「はぁ……はぁ……みんなっ! ありがとうっ!! オレの歌がおまえらの魂に届いたってのが、ステージの中心にいると痛いほどわかる。 でも残念だけどこれは歌バトルだ。オレは次の代表をこのステージに呼び出してマイクを渡さなきゃいけない……」
地球の未来をかけて銀河アイドルたちが歌で競うこのバトル。
たった今歌い終えて、割れんばかりの拍手を浴びるレジェンドは?
「さあ、次なる歌を披露するのは義の惑星のインテリ少年! 最高潮に盛り上がったこのステージをシラケさせないでくれよ!?」
レジェンドの声と同時にステージに立ち込めるスモーク。
すると奈落から少年の姿が現れました……!
???
「……我は世界の英知の中心……知の宝庫……」
「そう、土星よりの使者、チザネの登場だ!! っと、うわっ、ちょっ、待って!!! これスモーク出すぎじゃねーか!? ご、ごほっ、ごほっ」
「舞台に使用されるスモーク……。原材料はドライアイスから炭酸ガス、そしてフォグリキッドを使用したものとありますが、これはドライアイスのもの……そしてその大量発生の原因は、ずばりレジェンド、そなたです!」
「え!? オレ!??」
「火星人は極度の興奮状態に陥ると周りの気温を上昇させるといわれています。我の知識に間違いはありません。絶対なのです」
「さすがインテリ少年って呼ばれるだけあるな。えっとなんだっけ、その胸に抱いてる本、サルでもわかる知識の書だっけ?」
「叡智の書です! 銀河一の知識を誇る書物を類人猿の物扱いするとは……」
「えっいやゴメンって。オレ忘れっぽいだけだから。なんつっても偉いもんな、チザネって」
「わかっているのならよいのです。我が勝利した暁にはこの本の力で人類の進化を促すことを約束しましょう。 地球人よ、求めよ、さらば与えられん。我の歌を聞き我に投票するのです。さすればこの前時代的な惑星は我の博識でもってさらに住み良くなるでしょう」
「なんかよくわかんねーけど、戦争しないですむなら悪くはないよな」
(わからないとは嘆かわしい。知識ランクは1に該当。話す価値なし、と……)
「なんかオレかわいそうな目で見られてねーか!?」
「なんか腑に落ちねーけど、恒例の質問コーナーからいこっか。 えっと会場の女の子から届いた質問は……と、チザネくんはいつも本を読んでいるそうですが、その本にはどんなことが書かれているのですか? だってさ」
「よくぞ聞いてくれました。我のこの本は土星の誇る銀河大図書館が誇る叡智の書。この世の営みのすべてが記された伝説的な書物なのです」
「へー、その本そんなすごかったんだな! ちょっとオレにも見せてくれよ」
「わっ、待ちなさい、愚か者が直接手で触れるのではありません」
「ええっと……あれ? この本難しいことでいっぱいだけど、恋とか愛とかそういうのもちゃんと載ってんだ」
「な、ななな、なんて俗物的なっ、本を返すのです! 今すぐ我に叡智の書を返すのです――っ!!」
「はいはいっと、そんな細腕でポカポカ殴られても痛くもかゆくもないって。そんなことよりなんでおまえ顔真っ赤にさせてんの?」
「んなっ、何をいっているのですか!」
「ん? もしかして銀河中の知識はあっても実際の恋愛事にはお子さまらしく疎いってオチなの?」
「な、なななななっ何を!! 我を火星人ごときの知識レベルで笑うというのですか! 我の知識は完璧です、我の脳内にはこの世のありとあらゆる真理と営みがっ――」
「じゃあ質問その二、もしチザネさんが女の子を口説くとしたら、どんな言葉で口説きますか? 答えてみてくれよ」
「え? ええ!? く、口説くなど……ありえません! 土星ではそのような非効率的な方法は行われませんから!」
「つまりわかんないってこと?」
「な、わ、我にわからないことなどありません! 地球の女性の口説き方ですね!? わかりますとも! まず女性は古来よりムードに弱いことから……弱いことから……まずはその、然るべき場所で然るべき時間を整えて……み、耳元で……っ、うぅ……こんなの恥ずかしい……っ、いえるわけないじゃありませんか! うわ――――ん!!」
「チザネ!? おい、どこ行くんだ、チザネ!!」
なんだか大変なことになってしまいましたが……。
このまま無事に次のステージを迎えることはできるのでしょうか?
【発売日】2014年6月18日(水)←あと4日!!
【出演】蒼井翔太