戦後のキャバレーを舞台に、麻薬〈角砂糖〉をめぐり愛憎渦巻く男女を描いた人気シリーズ『キャバレーと角砂糖』の最新作『キャバレーと角砂糖 -1948- 鳴瀬明』を2025年10月24日(金)にリリースいたしました!
収録を終えた河村眞人さんのインタビューが到着したのでご紹介します!
鳴瀬明役・河村眞人さんインタビュー
――収録ありがとうございます。お疲れさまでした!
鳴瀬明役・河村眞人さん(以降、「河村眞人」):収録の前日はお酒を飲まないんですが、今回は一杯やりました(笑)くたびれた感じが出るかなあって。
――飲酒で声が変わるんですね(笑)崩れた感じ、出ていました。
河村眞人:良かったです。こちらこそありがとうございます。
――まずは『キャバレーと角砂糖』についての印象や感想を教えていただけますでしょうか。
河村眞人:現代劇の日常を切り取った作品ではなく、しっかりと戦後日本の世界観が構築された作品だったので、難しそうだなという印象が最初にありました。
でも、絵も素敵ですし好きな人はすごく好きな雰囲気なので、難しそうだと思いながらもとてもやりがいのある作品だなと思いました。
――演じられたキャラクター・鳴瀬明の魅力をお伺いできますでしょうか。
河村眞人:時代が時代なだけに、明君は極限状態にあってトラウマを抱いて、冷静じゃない部分があるじゃないですか。で、今の価値観でいったらクズだなって思うこともやってると思うんですよね。
――明は今の価値観では測れない部分が多かったですね。
河村眞人:明君があの極限状態を経験しながら、最終的には何とかなってるというか、落ちるとこまで落ちていないのは、もうそれだけで強いんじゃないかなって思うんですよね。この時代には立ち直れない人とか、目の光を失いっぱなしの人もいたと思いますし。そんな中、ちゃんとドラムを叩いて生活してきたっていうのは、それだけで強いと思います。
――ヒロインとの離別を経験しつつ、再会の希望を心に抱きながら一生懸命生きている様子、河村さんのお芝居ですごく感じました。
河村眞人:ありがとうございます。音響監督の荻原さんと話したんですけど、いわば今で言ったらPTSDみたいな状態じゃないですか。そういう状態の明君ですからね。
実に人間らしいっていうのが彼の魅力かもしれないですね。いわゆるスパダリじゃない、もろい部分と、ちゃんと崩れなかった、言うて芯ある部分とっていうのが。
壊れた日本の空気感を表現する「間」の工夫
――難しそうと感じられたのは戦後の時代背景でしょうか?
河村眞人:はい、その時代を生きていないので、今とは価値観が違うと思うんですよね。男女間にももっと差があった時代でしょうし、じゃあこの時代の男性ってどういう風に女性と接するのか、とか。
会話のテンポ感も、現代よりはローテンポなんじゃないかなと思って、最初のシーンはポツっと喋って、間を置いて、ポツっと喋って間を置いて、みたいなテンポにしています。それが戦後日本のテンポ感に合っているかどうかはわからないですけど、現代と同じではないんだろうなと。そういう部分が、とても難しそうだなとは思いましたね。
――明を「間」で表現していただいたのでしょうか。
河村眞人:意識してそうしたというよりは、台本と向き合って、勝手にそうしたくなったみたいなイメージですね。
――本編から特典まで演じきっていただきました!
河村眞人:ありがとうございます。役者冥利。
――逆に、演じやすかった側面があれば教えてください。
河村眞人:演じやすかったかって言われると、前述の通り、難しいばっかりでしたね。
ただ、本人があの状態なので、あんまり駆け引きをする余裕がなかったじゃないですか。
――ずっと明がヒロインに縋っていました。
河村眞人:いっぱいいっぱいな明君なので。だから、このセリフの裏には、実は別の意図がありますっていうよりは、セリフの通りではありましたよね。演じやすかったって言うほどではないんですけど、強いて言うとすればそういう素直な部分でしょうか。
愛してるって言いながらぶち殺してやると考えているみたいなものはなかったので。
――はい、明は全てを口にしてしまっていましたね。
河村眞人:本当に本人に余裕がないんです。
ある意味で素直でしたからね。絞り出せばそこが演じやすかったでしょうか。
――今回の収録で特に印象に残ったシーンや台詞があれば教えてください。
河村眞人:そもそも世界観が印象的ではありますけど、特典も含めて全てを聞いた上で、すごく印象に残るセリフっていうのがありますね。
――どのセリフでしょう?
河村眞人:「愛してたわけじゃない」。
――あのシーンは聞き手としても本当に悲しく感じました。
河村眞人:極限状態を経験して、しっちゃかめっちゃかな状態だったので、あのセリフが全てなのかというと、そうではない部分はあると思いますけどね。
しかも、愛してたわけじゃないって、今そう思って喋ってるというよりも、過去を振り返って喋ってるところだから、質問が戻っちゃうんですけど、また難しいところでしたね。
――しかも、エッチの直後だったのに(笑)普通そこでは言わない。
河村眞人:結構ガツンと殴ってくるので、「ええっ?」っていう。現代だったらノンデリって言われてますからね(笑)。
それぐらいいっぱいいっぱいですから、彼は。
――〈共犯の夜〉を再現したくてしょうがないわけですもんね。リスナーにとっての聞きどころもそこでしょうか。
河村眞人:「俺は、俺だけは」とか「俺は、俺たちは」って重ねていくセリフだったり、それこそ古典みたいな長ゼリフがとても多いんですよね。その古典っぽい作品ならではの雰囲気を味わっていただくっていうのが、またこの作品の聞きどころなんじゃないかなと思います。
「役であるために、ト書きを消す」──現場とシナリオの舞台裏
――繰り返しになってしまいそうですが、明を演じるにあたって、心がけた点や難しかった点はありますか?
河村眞人:なんなら全てが難しかったですね。どうしても時代的に、現代劇の日常作品よりも分かりにくいものが描かれているから、状況説明とか動きの説明も台本上に増えてくるじゃないですか。
――確かに今回、シナリオのト書きが非常に多かったですね。
河村眞人:そうすると、セリフ内にもト書きが増えるじゃないですか。
セリフを読んで言葉を発するのは明君なんですけど、ト書きを読んで理解するのは河村自身なんですよ。
だからト書きが目に入るたびに気持ちが河村に戻っちゃうというか、明君の意識が切れちゃう。それがまたキス・耳とか、例えば、電話越しとか、パッと見て理解できちゃうぐらいのト書きだったらまだ大丈夫なんですけど、難しいシーンになると、台本上では1行2行全部ト書きだったりするんですよね。
――集中してト書きを頭に残らせながら次に、次に進むみたいな感じだったんでしょうか。
河村眞人:ちょっと見ていただきたいです。
――拝見します。
河村眞人:ト書きをこれくらい消しちゃいます。なので、青のボールペンがめちゃめちゃ減るみたいな。
今大事なのは、ディープキスとか、上へキスしながら上がってくる。だけ目にいれたいみたいな感じで消しちゃうんですよね。大事なところだけ見る。
――こんなに消してしまうんですね。ト書きを消してもそのト書きのお芝居されてましたね。
河村眞人:僕に限っていえば、必要最低限のト書きがいいですね。気持ちが動いたらセリフ喋るようにしますからみたいな。
――なるほど……。
河村眞人:僕は、書いてあるとやっぱその気持ちが河村に戻っちゃうから、役であるために消すっていう感じですね。
ト書きが目に入った時に、河村がト書きを理解するっていう気持ちになって明としての意識が切れちゃうんですよ。
――役に集中するためだったんですね。
河村眞人:意識を切れさせたくなくて。僕はシチュエーション作品って、いろんなジャンルの中でも一番その心の機微の流れとかセリフの連続性、継続性ってすごく大事なものだと思うんですよ。
――感情の深掘りをしていきますもんね。
河村眞人:動きもあるから、途切れさせたくないんですよね。だからト書きを理解しなきゃいけないんですけど、ト書きを理解したセリフを喋りましただと、その継続性、連続性が絶対途切れてしまうので、いかに途切れさせないように集中力を保つかっていう部分がやっぱり日常系の作品やるよりずっと難しかったですね。
――一般的なシチュエーション作品と違って、明は心情吐露が多く、ヒロインへの思いというより彼の心の動きを追わないといけない。そこを表現いただくのは難しかったと思いますが、自然にやっていただいてました。
河村眞人:本当ですか(笑)ありがとうございます。
「キャバレーと角砂糖」は現代劇っていうよりも古典みたいな長ゼリフが多かったので、感情だけでは芝居できない部分も多くて。そういうところは、本当に難しかったですね。
再現じゃなく、「今」を生きる芝居を
――もしご自身が音楽や芸能活動を通じて明のような一度きりの陶酔を味わったとしたら、その記憶をどんな風に抱えていきますか?
河村眞人:それこそ明君とヒロインのセッションのように、音が重なり合う気持ちの良さっていうのは、僕も役者として味わったことがあって。
でも、僕らの場合、ありがたいことに平和な世の中でのことなので。もう一度あれを味わいたいっていう気持ちはもちろんあるんですけど普通に良い思い出、良い記憶として大事に持っていく形になると思います。
――頻繁にあるんでしょうか。
河村眞人:再現度はそこまでないかもしれませんね。本当に「うわあ、今通じ合ったよね」みたいな気持ちよさには程度がありますね。陶酔までいくと、そんな頻繁にあるものでもないかな。
彼らみたいにその記憶をなぞろうとしてしまうと、多分芝居は失敗するから。
――明のように、そこまでいけないと「ダメだった」になっちゃいますもんね。
河村眞人:その時とは脚本も違うし、役も違うんだから、なぞろうとしちゃダメだよねっていう。そこに陶酔しすぎることなく、「またあれを目指して」っていう前向きな気持ちで記憶を抱えていきたいですね。
――最後に、『キャバレーと角砂糖』の発売を楽しみにしている皆さまへ、メッセージをお願いいたします!
河村眞人:皆さんが『キャバレーと角砂糖』シリーズを応援してくださっているおかげで、僕も新キャラクターとして出演することができて、明君と出会えました。感謝感謝です。引き続き応援していただけたら、また新キャラであったり、続きが出たり、もしかしたら第2シーズン、第3シーズンなんていう展開もあるかもしれません。
他にはない雰囲気の作品になっているので、シリーズの他のキャラ達と合わせて、ぜひ鳴瀬明君の巻も聞いて、この世界観にずぶずぶ浸って、目一杯楽しんでいただけたら嬉しいです。
『キャバレーと角砂糖 ー1948ー 鳴瀬明』商品情報
【タイトル】キャバレーと角砂糖 ー1948ー 鳴瀬明
【DL配信日】2025年10月24日(金)
【パッケージ発売日】2025年11月21日(金)
【価格】2,970円(税込)
【出演】河村眞人
【発売元・販売元】ひつじぐも
【あらすじ】
上海空襲の夜、角砂糖に酔いながら音楽と快楽に溺れたふたり。
戦後、ピアニストの貴女は再会した元恋人・鳴瀬明と演奏を再開するが、
再現できない快楽の虚無が、〈あの夜〉の正体を暴き出していく。
それは愛だったのか。欲望だったのか。罪だったのか。
裁きが下されるその時、ふたりは何を選ぶのか――。
「君のピアノを聴いてると、思い出すよ。あの頃のことを。あの夜の、ことを」
「〈角砂糖〉……効いてきただろう? 早く君の蜜に、触れたい」
「触れ合ってるだけで体が熱くて……っ……、溶けそうだ。ああ、早くもっと……欲しい……っ……、欲しい……」
【トラックリスト】
- 再会の夜、記憶の音
- 君の音が欲しかった
- 角砂糖 同じ夜をなぞるために
- 裁き
- 上海、角砂糖に溶けた日
- 共犯の再生
『キャバレーと角砂糖』公式サイト
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『キャバレーと角砂糖 -1948- 鳴瀬明』特典情報まとめ(出演:河村眞人)
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