第１５話 またしてもお茶会へ
～前回までのあらすじ～
賑やかな宴も無事（？）終わり、
城にはいつもの静けさが戻ったようです。
さて本日は、静かになった城の庭で
お嬢様が一人散歩をしているようですが……。
びゅんっ
執事ー！ 執事、どこにおるのだー！？
お嬢様？ そんなに慌ててどうされたのですか？
おお。ここにおったのか。大変じゃ。庭に、庭に……！
庭に？ 庭で何か問題でもございましたか？
大問題じゃ！ 庭の木に、この前怪しい男のところにワープした穴が空いておったぞ！
そんなまさか。何かの見間違えではございませんか？ それに、お散歩をされるのなら私に声をかけていただかなければ困ります。
ムムッ。
しばらく見ないものですから、どこへ行かれたのか心配で心配で城中をずっと探しておりました。
ムムムッ……！ そんなことはどうでもいいのじゃ！
どうでもいいなんてことはございません。もしお嬢様に何かあったらと思うと私は、気が気ではありませんから。
もう良い！ ほらさっさと穴の中へ行ってみるぞ！
ああっ、お嬢様。お待ちください！
…………。
こうして二人は庭で見つけた穴の中に
入っていったようですが……。
っ！？
おや……？
くくっ……今日の貴方もまた、お美しくいやらしいですね。
ふふっ。それはあなたが私をそうさせているんですわ。
お、お嬢様。見てはいけません。何ともはしたない……。
わっ。急に目を隠すでない！ 何も見えんではないか。
見えなくて良いのです。あのような破廉恥行為はお嬢様は見るべきではありません。さあ、帰りましょう。
イヤじゃ！ いいいいくら破廉恥と言えど、あやつの正体をわらわはつき止めるぞ！
草陰で執事とお嬢様が騒いでいた時です。
おや？ どうやら可愛い子ウサギさんが迷い込んでいるようですね。
なっ！？
くっ……いつの間に。
いつの間にか奇術師が、２人の前まで来ていました。
あらあら。ではおふたりも、一緒にお茶はいかがですか？
そうですね。本日のお茶菓子はスコーンでございますよ。
茶……スコーン……。
お嬢様。また食べ物につられてはなりませんよ。
そ、そうじゃ！ わらわは貴様の正体を明かそうとだな！
私の正体でございますか？ 何。私はただのしがない道化師にございます。
うふふ。そうですわね。
ですので何もお気になさらずに、さあ、温かいお茶をどうぞ。
そそそその手には乗らぬからな！ い、いい匂いはするがっ！
お嬢様がお菓子を前に耐えていらっしゃる……成長、されたのですね。お嬢様……。
何を我慢することがおありでしょうか。
か、帰るぞ！ そうじゃ！ わらわはもう帰るぞっ！
そうですか？ 残念ですが、仕方がありませんね。ではお帰りはご自由にどうぞ。
ムムッ！ で、では帰るぞ！ 帰るからな！ そこの道化師、道案内をしろ！
さて、困りましたね。それだけは私にも難しいですねえ。
はぁ。美味しいお茶。お嬢様もいかがですか？
むー……。
そうですねぇ。確かに本日のお茶は美味しく淹れることができました。
ほ、ほのぼのして……むむむ……ムキーッ！！
お嬢様、落ち着いてください。私が何とかいたしますから。
むーっ！！
焦っても何も良いことはございませんよ。
そうですね。奥様、おかわりはいかがですか？
あら、ではお願いするわ。
はい。お美しい奥様のためならなんなりと。
…………。
…………。
おやおや。
どうやら帰る方法が分からないようですね。
一体この先、２人はどうするのでしょうか。
さて次回は「脱出作戦に謎の２人組登場！？」
どうやら新しいメンバーが来るようです。
ぜひお楽しみに！
んんん？ こ、これはもしや……。大変じゃ！ 執事に知らせねば！