女王蜂の王房では、登場するヒトが「食べられる」という描写が存在します。性的な餌食になる=「食われる」ではなく、文字通りバリバリと食べられてしまいます。その意味を考察します。
ストーリー上で普通の事として「食べる」女王蜂の王房
女王蜂の王房では、めのうの母親である女王の他、男性キャラクター、さらには主人公のめのう、輝夜もヒトを「食べる」描写があります。現実の蜂のエサは花の蜜であり、そこから作られる蜂蜜やローヤルゼリーなのですが、このストーリーの蜂はヒトを食べていきます。
何か大変なことをする感じで「食べる」のではなく、通常の食事と同じように人を食べてしまいます。初めてそのシーンを見た時には驚きました。こんなにグロいシーンがあるなんて……!?
女王蜂の王房は「カニバリズム」ではない
ヒトを食べると聞くとすぐに思い出すのが「カニバリズム」です。ただし、現実の、文化人類学的な要素としてのカニバリズムと女王蜂の王房のそれとは違うと私は考えます。
現実のカニバリズムは大きく分けると以下の要素を含みます。
- 悪魔崇拝などの宗教的儀式
- 性的嗜好の究極系
- 部族間などでの復讐、憎悪
- 薬効を期待してのもの(人魚を食べると不死になるなど)
このうち4番目、薬効についてはヒトが王蜜の効果を期待して、めのうらを襲う場面がありますが上記のものとは異なると考えます。
女王蜂の「王蜜」:直接的に不死になるというもの(RPGでいうエリクサー)
薬効のカテゴリーに属すると考えられますが、上の3つとは全く違いますよね。18禁シーンのプレイでも「食べる」ことと性的な快感や行為そのものが関係しているシーンはありませんでした。
それではこの「食べる」行為はどういう表象なのでしょうか?
ファンタジーならではの「食べる」描写
上で述べたように、女王蜂の王房での「食べる」描写からは宗教的なものや、悪魔崇拝や性的倒錯は感じません。
どちらかというと、蜂とヒトがいる世界というファンタジー性を際立たせる表現なのだと思います。
女王蜂の王房はファンタジー的な要素を拡張する意味で「18禁」であることを利用して「食べる」描写をしているのだと感じます。全年齢対象の場合、この表現ができない可能性があります。かといってスプラッター、猟奇的な画像はなく、あくまで文章としてプレイヤーに「あれ!」という新鮮な違和感を与えます。
女王蜂の王房からは、大人(の女性)向けのダークファンタジー的な要素をこういった細かい演出からも感じるのですが穿った見方でしょうか?
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