第17話 仲良し3人組
ここは、子どもたちの秘密の場所。
大人だったら近づかない場所に、
蝶がどこからか迷い込んできたようです。
ひらひら……ひらひら……
パタパタ……
まるで鬼ごっこですね。どちらが遊ばれているのか分からないけど。
えーっ、そんなこと言わないで、にーさんも追いかけてよ。とってもきれいな蝶だよー。
捕まえるのはかわいそうよ。逃がしてあげれば?
大丈夫。イイカゴだって用意するし、花だって生けてやるんだし。
そうじゃなくて……ん? 蝶が私の肩に止まった。
へえ、やっぱり蝶も可愛い娘のところがいいんですかね。
あ……またどこかに……。
ひらひら
なんでにーさん女の子のほうがいいってわかるのさ。
だって、この蝶。オスですから。
……どうしてだろう。その笑顔を見てると寒気が。
おや。くーるびずってやつですかね?
そういう問題とも違うような。って、さっきからあんた達誰!?
えっ、誰のこと!?
オレたちのことでしょう。それにしても君は……いつにも増して鈍いようですね。
……あなた……前に会ったことあった?
ええ、何度も。
なあ。蝶ってさ、魂の化身って言うじゃん。捕まえたら、君が喜んで――。
よくわからないけど、私のために捕まえようとしてくれたのは嬉しい。ありがとう!
えへへっ。君の笑顔ってさいっこうに可愛い!
クス……。
あれ、またさっきの蝶……。
今度は君の手……。君に何かを伝えようとしてるみたいですね。
じゃあやっぱり捕まえよう。縛り上げて聞き出すんだ! 動かないでじっとしててね。
……そーっと、静かに捕まえてっと。
スッ……
あれっ!? 君に触れない…わーっととと!
コケッ
……何が起きたの? いま、私をすり抜けたような……。
ううー。痛い……。
って、大丈夫? 転んでけがとかしていない?
不思議ですよね。モノには触れても君には触れられないなんて。
やっぱにーさん、お盆じゃないと駄目なんだよ。
残念だな。君の柔らかい白い肌に触れられないなんて……。
なんかもう蝶はいい! 君にさわれないのがすっごく悔しい。
前も身体が消えたりってあったの?
消えたりというか……だってボクら……。
オレたちの正体は……。
クスッ、和やかですね。こちらの蝶をお求めですか?
誰? ――あっ。さっきの蝶!
おや。美しいお嬢さん。あなたもこの美しい羽を持つ虫のように愛らしく、たおやかで――。
初めまして! 蝶を捕まえるのが上手なんですね。
……ゴホン。こうしてお会いしたのも何かの縁でしょう。当店の甘味は究極のリラクゼーションと……。
あー! その子の肩に手を回すのは禁止ーっ。
スカッ!!
へー、お店をやっているんですか。どんなお店です?
……。それは来てからお楽しみですよ。今から一緒に――。
もーっ、どうなってるの。すっごい不便だよ!
スカッ、スカスカッ!!
……というか、一般人には見えてすらいないようですね。
……うるうるうる。悲しくなって来ちゃった。
男の子が簡単に泣くんじゃないのっ。
怒られた…。
……貴方は彼女に、少し馴れ馴れしすぎる。
ふふ。すみません、からかいすぎてしまいましたね。
はい。その辺にしてください。
……それにしてもあなたはどうやってここへ? よく考えたらここがどこかも思い出せなくて……。
何……美しい女性のいるところで私の赴かない場所などありはしませんよ。
はあ……。
……変態。
なんぱやろーめ!
お嬢さん、近いうちにまたお会いしたいですね。
はい。3人でお店に遊びに行きますね。
ええ、是非。
ザッザッザッ
3人……? 3人……。
……行ったか。不思議な人でした。
やっと行った。くんくん。あいつ甘いにおいがするな。
あれっ。これ、CDじゃない? さっきの人が落としたのかな。
おーっ!? キラキラしてる!
それ裏面だよ……ほんとにモノは透けないんだね。
カラスを追い払うのに最適なものを置いていってくれました。
余計な邪魔もいなくなったし、また3人で遊べるね…クスクス。
美しい蝶がきっかけで出会った甘味屋と不思議な兄弟。
次回はこの兄弟のなぞにせまれる……かも?!
待てよーっ、待てったら~!