第18話 レッツゴー魔方陣
~前回までのあらすじ~
蝶を追いかけていた双子の兄弟達。
蝶を捕まえようとしたとき身体の変化に気づきます。
和菓子屋に翻弄されつつも、元に戻れるよう奮闘するのですが……。


一緒に遊びたいのにつまんないよ~。

どうすれば元に戻るんだろうね。そもそも、あんた達ってなんなんだっけ?

ボク達はね、わかりやすく言うと幽霊なのかな?

むかーし身勝手な大人のとばっちりを食らって、死んでも死にきれなかったんですよ。

そうだったんだ…結構重い過去背負ってるんだね。

君はそんなこと気にしなくていーのっ。

ただ、オレの仮説が正しければオレ達成仏寸前なんですよね。

この世に未練が無くなったって事?

いや、オレはまだまだ恨んでいます。

兄さん怖い……背後に邪悪なオーラが見えるよ。

クスクス、悪霊ではありませんから安心してくださいね。

でも、ボクも未練っていうか……現世でやりたいことはまだあるもんなー。

へー。たとえば?

君と遊ぶこと。

オレ達兄弟にとって、君と会うことはそれくらい大切なことです。

ありがと。私もふたりと友達になれて嬉しいよ。

おそらく貴方と会えて嬉しいという気持ちが、オレ達の過去に対する恨みを中和させているんでしょう。

わかるー。この子と話していると、人間っていいな☆ って和んじゃう。

つまり彼女はオレたちにとって、スーパー癒やし系ということですね。

でもこのままだと、文字通り昇天しちゃうから笑えないよ。

うーん。恨みが無くなるのはいいことだけど。

オレは困ります。この声が君に届かなくなったら……。

わわっ。それはボクも嫌だよ! さわれないだけでも不便なんだもんっ。

ここは恨み・ねたみを増幅させて、気合いの力で現世に残るしかないでしょう。

なんだかすごい話になってきたなー。

なんかにーさんの目がイっちゃってて怖いけど、ボ、ボク頑張るよ。

いい返事ですね、弟よ……まずはこの本の通りに魔方陣を書きなさい。

合点承知。

これって黒魔術ってやつ? 本物初めて見るなー。

オレもやるのは初めてだけどね。

え。

準備できたよー。

よし。まずは貴方が先に乗って……。

乗ったよ。

あのさ。それ、本当に大丈夫なの?

クスクス、多分大丈夫だと思いますよ。

にーさん、次はどうすればいいの!?

今までで一番恥ずかしい思い出を叫んでください。

ええーっ!? やだよ、どうして!?

恥ずかしい思い出を口にすることで、世の中を恨む気持ちが増幅するのです。ファイトっ。

あいつの恥ずかしい思い出、聞いてみたい……。

ううっ。あの子と一緒にいるためなら仕方ない……。
ゴゴゴゴゴゴゴ

おおっ。魔方陣が妖しく光り出した! すごい。

ボクの恥ずかしい思い出は、先生のことを間違えてお母さんって呼んじゃったことー!
ゴゴゴゴゴ……シュウウウゥゥゥ

どうやら、魔方陣が無事に恥ずかしい思い出を吸い取ってくれたようですね。

これで現世への恨みがたまったの?

はい。そのはずですよ。

心がちょっぴり傷ついたけど、これで君に抱きつくことができる~っ。

ええっ。急に抱きつかれるのはこま……。
スルッ……バターン!!!

ううっ、なんで?

失敗でしたか。残念ですねぇ。

なんかお兄さん余裕あるよね。

実は今のはジョークだったんです。本当の方法は別にあるんですよ。

に、にーさん。ボクをオモチャにしてたんだ……。

愛故に、ですよ☆
妖しくほほえむ兄と、振り回されがちな弟。
元の身体に戻れる本当の方法とは?



とりあえず、彼女にふれることができないのは問題です。