今後の事業計画

2021年、私たちはほとんど全てのBtoBの受託制作案件を終了しました。それは音声コンテンツ市場の急成長とともに、主力事業としてドラマCD(音声コンテンツ)にフォーカスしようと決断したためです。では、ひつじぐもは今後どのように事業を計画しているのか。それをご紹介します。

主力事業と課題

音声コンテンツ事業が現在の主力事業です。中でも得意とするジャンルはシチュエーションCD。役者1名がリスナーに向かって語りかけるボイスドラマです。自社に著作権があるタイトル(オリジナルIP)を200近く保持しており、安定的に売上/利益を積み上げる核となっています。いわゆるサブスクリプションモデルとは違いますが、収益構造はほぼストックビジネスといっていいでしょう。新作のリリースは年間十本以上。中心メンバーはソーシャルゲーム業界やIT業界の経験者で、そのノウハウや知見を活かし、クオリティの高いドラマCDを企画から販売まで手がけています。

音声コンテンツ市場の急成長が追い風となって年々売上が上がっている状況ですが、市場がいつまで成長するかは誰にもわかりません。

ただ、私たちのビジネスに関する知見やノウハウは、ハイリスク・ハイリターンを期待するようなコンテンツでなければ音声コンテンツに限らず再現性があります。2022年、私たちはボーイズラブノベルゲーム「僕と彼の危険な同居生活」をNintendo SwitchとSteamでリリースしました。プロジェクトの収支や施策を分析すると、同様のコンテンツには同様の戦略が取れることがわかりました。もし人的リソースの問題がなければ、こういった中規模コンテンツにも事業として取り組みたかったと考えています。

ソーシャルゲームバブルを見てもわかる通り、市場の成長はいつか終わり、成熟期に入ります。その時に残る会社は、悩みながらも良いモノをつくり、売る工夫をし、お客様に評価されるという愚直な努力を繰り返し、いちブランドとして業界内にポジションを確立した会社です。私たちは制作会社であり、同時にパブリッシャーとしてマーケティングの知見もあります。どんなタイトルが当たるかはそれほど問題になっていません。今後は単純に生産能力(製作能力)が課題です。音声コンテンツ市場が伸びているうちにリソースを投入し、発売本数を増やす。簡単なようですが、人材不足や経験不足により達成できていません。

業界の課題

アダルト色があるにも関わらずゾーニングされていない業界全体の課題もあります。人によって是とするか否とするかはそれぞれですが、ホワイト化していくのは社会全体の避けられない潮流です。あまり知られていませんが出版物が既にそうであるように、プラットフォームの判断で特定のテーマのタイトルは発売・配信できないケースも起こりえます。

リスクを減らすために既存市場での新ジャンル開拓を視野に入れています。緊急ではありませんが、重要な課題です。

IPを最適化する会社へ

これから確立したいのはオリジナルIPの利益の最大化です。

シチュエーションCDは基本的に60~90分程度で物語が完結します。「シチュエーション」と冠されるだけあり、その中にキャラクターの魅力がギュッと凝縮されています。キャラクターを活かすためにストーリーはシンプルです。そのシンプルさゆえに、キャラクター設定や世界観を作り込めば、強力なIPになります。ここに非常に大きな可能性を感じています。

2022年、コミックがシチュエーションCD化する流れが散見されました。しかし、漫画を単純にドラマCD化してうまくいくほど甘くはありません。仮にティーンズラブというテーマで一致したとしても、単価が違いますし、ヒロインの個性やストーリーの起伏が重視される商材は、本来シチュエーションCD化とは相性が悪いと考えています。客層がまるで異なるものに対し、ストーリーをなぞっただけのコンテンツを成功させるのは至難の業です。加えて書籍のライセンスアウトは通常、作家の意見が強く反映されるため、面白くしたくても設定の改変の許可が降りない、交渉に時間がかかるなど制作会社に負担がかかります。

一方で、シンプルなストーリーを複雑にするのは比較的容易です。私たちは過去、シナリオを中心にゲームの企画・製作を受託してきた実績があります。やみくもに原作を厳格に守るのではなく、それぞれのプラットフォーム・客層に合せたコンテンツの最適化を提案することができると考えています。

パブリッシャーや出版社など様々な企業と協業し、私たちは、この事業領域をコミック、小説、ゲームに広げていくことに挑戦したいと考えています。

ビジョン

今後の事業計画

会社と個人の人生のビジョンが重ならなければその会社を選ぶ意義を見いだせません。ひつじぐもが今後どんな方向性に進もうとしているかご紹介します。

育成方針

私たちが育成したいのはドラマCDをつくる人ではなく、日々を一瞬忘れさせるような強い魅力を放つコンテンツを一緒につくりあげられる人材です。転職したとしても転職先で第一線で活躍してほしい。そのための育成を考えています。