『フォルトゥナが微笑むまで』第1回:感応時間、復活するってよ

フォルトゥナが微笑むまで:第1回感応時間12 ~フォルトゥナに魅入られた男~を発表させていただきました。

舞台は、砂漠に煌々と灯る不夜城・ラスベガス。

そして、今回の”男”は、一軒のホテルに出入りする、負け知らずのギャンブラー。

「プレイス ユア ベッツ(Place your bets)」

その囁きとともに、あなたはめくるめくルーレット・ゲームをすることになる。

――こんな物語の卵ができたのは、今年の1月27日。企画書の編集履歴を見ると明らかです。しかし、キャスティングの依頼をするまでには、それから約3ヶ月かかりました。

それは、この感応時間12を世の中に出すまでにかかった3年という年月と無関係ではありません。今回、全4回ほどにわけて、それらの経緯や新作への意気込みをお話しします。

さかのぼること3年前――

感応時間12の舞台は荒廃した都市。そこで王子様然としている“彼”の正体は一体――?

ナガオカが手がける、青を基調としたキャラクターデザインにも注視してください。

2013年11月9日発売・電撃Girl’sStyle12月号「VOICEポートレート♪」コーナーより

感応時間12の初出はなんと、2013年11月9日発売電撃Girl’sStyle12月号

我ながら3年前のコメントを見返すことになるとは。

しかし、ここで見ていただきたいのは、ここに描かれた世界観です。

荒廃した都市。王子様。これは感応時間なんだろうか。

そしてこれがその”彼”↓

素敵なナガオカさんのイラストだとは思いますが、「感応時間」として見ると、やはり何かが違う。

2014謹賀新年

年賀状にも起用したイラスト

この後も感応時間12については、ちらほらと続報があったりなかったりの宙ぶらりんな状態のままとなってしまい、3年のあいだ、

シリーズが終了したならしたと言ってほしい

どうして発売中止したのか教えて欲しい。

といったお声をいただくことも……。

しかし、説明したくても、説明できない。

単純にスタッフが変わってしまったとか、時間がとれなくなったとか、そういったわかりやすい(?)事態であればともかく、一番の理由は、「感応時間がつくれなくなってしまった」から。

厳密には、自分自身が自分自身に対して、「感応時間」というタイトルが必要とする最低限のクオリティをつくれないと判断してしまったから。なのだが、それを宣言してしまったら、もう二度とこのシリーズをつくれないだろう。

なぜ感応時間をつくれないのか? それについては単純明快だった。3年前、感応時間12の発売を企画したまではいいものの、その時点で私は、感応時間が何かわからなくなってしまっていたのだ。

制作者で、企画者でもある自分がわからなくなることがありえるのだろうか。

自分でも疑問だった。しかし、「違う」ことはわかっても、ではどこをどうすれば感応時間なのか、自分でもはかりかねた。感応時間の世界観は独特で、非言語的。ゆえに、立ち返るしかなかった。たとえば、2010年に。2011年に。あの時のニュースや、空気や出来事をもし完璧に思い出せたら、あの時の思いや考えていた事を、パズルを組み立てるように復元できれば、完璧な感応時間ができたかもしれない。(あるいは、『深い霧に包まれた古城』や『黒つるばみの監獄』と全く同じものがもう一作増えたか)

しかし、完全にその時の自分に戻るのは不可能なのだ。時を戻すことが不可能なように。

そうして考えてみると、感応時間というのは、感性、感覚優位でつくられているシリーズでした。理詰めではないのです。

では、感応時間とは何なのだろうか。

発売順から追っていくと、

感応時間 ~甘味処~
感応時間2 ~深い霧に包まれた古城~
感応時間3 ~黒つるばみの監獄~
感応時間4 ~ねじまき帽子屋の観劇ショー~
感応時間5 ~タナトスの兄弟~
感応時間6 ~紅玉の簪と紫龍の間~
感応時間7 ~春の賛歌と神隠しの岩屋~
感応時間8 ~死者の書、あるいは胡狼の天秤~
感応時間9 ~赤~
感応時間9 ~黒~
感応時間10~海神の呼ぶ声~
感応時間11~黒十字の失せる日~

CDを実際に手に取っていただき、パッケージを順にご覧ください。

おわかりでしょうか。徐々にファンタジー色が強くなっていることが。

実際のところ、感応時間は、現代モノではないところが魅力です。家庭教師と生徒、会社の上司と部下、みたいなあるあるは「感応時間」ぽくない。

感応時間には、ロマンがないとダメだ。現実味をそぎ落としたものでないと。

そのコンセプトがファンタジー色を加速させる原因になっていました。

しかし、ファンタジーと感応時間の相性じたいはよくありません。催眠をライトに楽しむというコンセプト上、複雑な世界観は、物語への没入を妨げることになるからです。

感応時間6の頃から色濃くなるファンタジー色を自覚しており、そのたびに、世界観をわかりやすくしよう、わかりやすくしようとしてきました。マニアックにならないように、と。

シンプルにする。

ただそれだけなのにどうしてこうも難しいのか。しかし、面白くしたい。前と被らないようにしたい。そう考えると、どうしても細に入ってしまう。

シリーズが進むにつれ、感応時間=わりとなんでもアリ、という認識がスタッフ間でもあった。そうなると、設定が足され、厚みが増していく。そもそも私が企画原案以外を各スタッフの裁量に大きく任せるディレクションを好んだため、よりそれらのコントロールが難しくなっていく。

2013年前後は、「女王蜂の甘美なる交合」、「女王蜂の王房」、「男遊郭 PS Vita版移植」等々のプロジェクトが相次ぎ、制作のやり方が今までと完全に別方向へ、転換を図らざるを得なかった時期でした。これらが重なり、徐々に感応時間を元のクオリティ、作品性のままリリースするのが難しくなっていったのです――。

第2回へ続く――(9月26日掲載予定)

ちなみにこの青を基調とした”彼”の物語は完全にファンタジーへ舵を取り、キャラクターデザイナーの変更も経て、「4色の支配者と反逆の業火」の青の王として蘇ることになります。

4色の支配者と反逆の業火

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フォルトゥナが微笑むまで:第1回

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