恋の催眠騒ぎ第31話「春の目覚め」

第31話 春の目覚め

女神にキスした鬼ですが、

はたして女神は目を覚ますのでしょうか……?

大神・基本

……うーん……あ……あなたは……。

鬼・基本

おお、ようやく目を覚ましてくれたか、愛しい媛……。

女神が目を覚ますと、途端にあたりに花が咲き、鳥は歌いだし、

森に暖かな陽が差し込みました。

姫・基本

おお。急に春になったぞ!

執事・笑顔

さすがは春の女神と言ったところですね。

マダム・基本

ほほ。眩しい恋人達ですわね……これで神様達も喜ぶでしょう。

奇術師・基本

……神様? 奥様は何か知っていらっしゃるのですか?

囚人・通常

そういや、どーしてアンタはこんな事してんだ?

オーナー・基本

確かに気になりますね……。

マダム・基本

話せば長くなるのですが……。ある日、神様連合とかいう組合の方が私の所へ来ましたの。

オーナー・基本

……神様連合ですか……。神の世界もいろいろあるんですね。

マダム・あやしい笑い

そして、『恋愛の達人と名高き貴方に頼みたい事がある』と言われてしまいまして。そんな風に頼まれては、断ることなど……ねえ?

霊兄・普通

それで、何を頼まれたんですか?

マダム・基本

ええ。最近人々が春を迎えるありがたみを失っているから、少しわからせてやって欲しいと……。ですので、今回の筋書きを提案させて頂いたのです。

霊弟・普通

ふーん。それじゃ、全部神様とあんたが仕組んでたってこと?

マダム・あやしい笑い

そうです。冬が長ければ長い程、春の訪れは待ち遠しい。それと同じく、会えない時が募れば募るほど、会えた時の喜びは格別なものに変わります。

オーナー・基本

まあ、確かにそれは一理ありますね。

マダム・照れ

でしょう? ほら、お2人も以前より、盛り上がっていらっしゃるご様子……。

鬼・自負

媛……。久しぶりに見るそなたの美しい瞳……心から嬉しく思うぞ……。

大神・照れ顔

私も……あなたに会えて嬉しい……。

鬼・基本

なんと愛らしいその唇。その滑らかな肌。離れてからも、媛を想わない日は無かった。ああ、媛……お前も夢の中で我の事を想っていてくれたのか?

大神・眠い

……すーすー。

鬼・自負

……おや、また夢の中へ戻ってしまったか。では何度でも起こしてやろう。

チュッ チュッ

霊弟・照れ

わー。熱くって見てらんないよ!

執事・基本

早く元の世界へ戻して欲しいのですが……声がかけづらいですね。

オーナー・笑顔

まあ、お2人の気が済むまでこちらはこちらで、お茶にしましょうか。

姫・照れ

賛成じゃ! 甘味が食べたいぞ。

囚人・通常

オレも腹が減ってきたぜ。

奇術師・ニヤリ

それでは……。パチン。

囚人・通常

だからお前、それはしつこ……っ!??

奇術師が指を鳴らすと、ご馳走の乗ったテーブルが現れました。

奇術師・笑顔

春の目覚めとは、全てを解放するということでしょうか。

マダム・照れ

まあ。素敵……。

奇術師・基本

では、春の花を愛でながらティーパーティを楽しみますか。

執事・基本

デザートも用意しましたよ、お嬢様。

姫・笑顔

うむ。景色は良いし、食べ物も美味しくて満足じゃ!

マダム・基本

私もお茶を頂こうかしら。

奇術師・基本

これは奥様。素晴らしい筋書きでございました。

マダム・照れ

フフ。貴方との甘い秘め事から得た経験を生かしたのですわ。

奇術師・笑顔

それはそれは、光栄でございます……。

霊弟・焦り

にーさん、あの女の人、なんかすごいね。

霊兄・普通

ええ、神様から恋愛の達人と認められるとは……只者ではありませんね……。

そして、一方の鬼と女神はというと……。

鬼・拗ね

媛。どうして先ほどから、起きたと思ったら、また眠ってしまうのだ。ずっと媛が起きるのを待っていたのだ……もう少し話をしようではないか。

大神・照れ顔

貴方の腕の中でまどろんでいると……幸せで……。夢の中でもずっと、貴方の声が聞こえていました……。

鬼・基本

媛……。

大神・笑顔

ふふ……私は起きていても、夢の中でも、ずっと貴方に会っているのですよ。

鬼・驚き

おおっ。なんという可愛らしい事を言うのか……!

大神・眠い

すーすー……。

鬼・自負

フッ。また眠ってしまったか。では口づけを……。

おやおや。マダムの狙い通り、燃え上がった鬼と女神の恋心。

放っておくと、一年中春になってしまいそうですね。

7章、これにて完結でございます。