第10話 奇術師、捜索開始
~前回までのあらすじ~
全員集合となった甘味屋に、突如現れた謎の奇術師。
皆、驚きを隠せず、彼の行方が気になるようです。
さてどうやって突き止めるのでしょうか?
一体、どこから現れたんじゃ……? 怪しげな……。
お嬢様に得体の知れないものを口にさせるなど、許される事ではあり
ません。これは即刻見つけ出さなければなりませんね。
まあそう目くじらを立てることではないですよ。怪しげではありまし
たが親切で愉快な方ではないですか。
いいえ! 私はこのような事許しませんよ。
わらわはまだこの茶が飲みたいぞ。
じゃあ何にしろ、あいつ探してみればいいんじゃね? 確かに飲んだことねー美味い茶だったな。
それは興味深い。どこから入手されたのでしょうか。
まだその辺にいるんじゃねーの? 俺が探し出してやるぜー!
ビュンッ
あ。また勝手な行動を!
わらわも探すぞ!
お嬢様!
探すのは良いですが、あまりうちの店を荒らさないよう……。
うっせーな! この一大事に何言ってんだ。
一大事というほどではないかと。
その通りですよね。いつも申し訳ありません……。
いえいえ。あなたが頭を下げる必要はありませんよ。可愛らしいお顔を俯かせていては勿体ないですしね。
か、かわいいだなんてっ……!
甘味屋! 貴様はまたおなごとあらば、節操のない……!
油断も隙もあったもんじゃねーな。
これは失礼。ところであの男性は見つかりましたか?
この中には既にいないようですが。
じゃあ仕方ねーな。外も探してみよーぜ。
おお。そうじゃな。遠足のようで楽しいぞ。
お嬢様でも、遠足っつーもんが分かるのか。
わらわは遠足が大好きじゃ。執事、早く弁当を用意するぞ。
え? これからでございますか?
もちろんじゃ。
それはちょっと楽しそうですね。私もお手伝いします!
そなたも遠足が好きなのか?
ずっと教会で過ごしましたので「遠足」というものはよく分かりませ
んが、ピクニックと同じようなものですよね。
そうじゃな! すごく楽しみになってきたぞ。
はい。胸が躍ります。
執事。ぼけっとしておらんと、早く作らんか。
は、はい。お嬢様がそのように楽しみにされるのなら、私は心を込めてお作りいたします。
タコさんウインナーは忘れるでないぞ。
タコさんですか! カニさんもよくないです?
おおお! カニも食べてみたいぞ。
シスターの奴、さっきまで不機嫌だったのに……女は、分かんねーな。
おやおや。あなたが言いますか。
うっせえ!
甘味屋! ウインナーがないです!
えええええ!?
こうして大騒ぎをしながら、お弁当を用意した一同。
何とか準備を整え、いざ出発!
と、思ったのですが――。
よし! 行くぜー!!
ガラッ
っ!?
ん?
これは……。
はて。うちの店は、森の中にありましたでしょうか?
んなわけあるか! 俺は確かに街ん中を通ってきたぜ!
何と、甘味屋の扉を開けた一同の目に飛び込んできた風景は
緑のしげる深い森だったのです。
何じゃ、ここは。今日は不思議な事ばかりじゃ!
お嬢様。今度こそ勝手な行動は慎んでください。もう、私の身が持ち
そうにありません。
おや? あの巨大な木の根元、大きな穴が開いていますね。
あー、遅れちまった。遅れちまった!
すると、一同の前を一匹のウサギが。
ウサギは時計を見ながらかなり慌てた様子で、
皆の前を横切ると、ぴょんっと穴に飛び込みました。
っ!?? おもしれー! 俺も入るぜ!
ピョンッ
ま、待ちなさいっ!
わらわも行くぞ!
ああ! お嬢様!!
……こうなると、私もですか。
すると――。
ようこそいらっしゃいました。
ななっ! このような場所に隠れておったか!?
探したぜ!
ここは何処ですか!? 木の穴の中に、また森が……。
フフ。さて。ここは何処なのでしょうか。皆さまのあまーい、夢の世界やも知れませんね……。
さて、またしても怪しげな様子で現れた奇術師。
彼は一体何者で、そしてここは何処なのでしょう。
その謎はいつ明かされるのか……。
さて次回は「奇術師ワールド」
次回も是非、お楽しみください!
すっげー気になる……。何だ、何者なんだ? あいつ。