第27話 女神を探しに
おや。どうやら、お嬢様が新しい遊びを見つけたみたいです。
一体何をしているのでしょうね……?


お嬢様。何をしていらっしゃるのですか?

見てわからんのか。「豆まき」じゃ。東洋の国ではこうやって幸運を呼び込むと、本に書いてあったのじゃ。

お嬢様、いつの間にそんなに勉強家になられて……私は今、静かに感動しています……!

さっそく、豆をまいたら鬼があっちに逃げていったのじゃ。

鬼?
不思議に思った執事が、部屋から出て辺りを伺いますと――。

もぐもぐ。ふむ、この豆、なかなかの美味……。

な……っ。貴方は一体!?

……。

黙っていないで何か言ったらどうです! 物盗りですか? はっ。もしやお嬢様に何かするつもりでは……!

……いや。我が用があるのはそなただ。

??

まあ、男よ。そう慌てずに、冷静に我の話を聞け。

泥棒にしては、随分と偉そうな……ぶつぶつ。

我はお前たちより少し未来の世界からやってきた。今、未来の世界では大変な事が起こっておる。春を呼び覚ますはずの女神が、何者かに攫われてしまったのだ。

未来の世界……? 春の女神……?

そこで国一番の力を持つ易者に女神を救う方法を占わせたところ、時空を越えたこの世界にいる、6人の勇者を集めよとのお告げがあったのだ。

時空……? 6人の勇者……?

と、言うわけだ。理解したか。

……とりあえず警察に連絡を……。

物分りの悪い男め。とにかく行くぞ。おまえで6人目だ!

うわっ。急に風が吹いて……前が見えない……!
ゴオオオオ……

よし。着いたぞ。

はっ。ここは……。

ここはお前達からすれば、近未来の世界だ。

近未来? 確かに建物の形など、変わっていますが……。それにしても、さ、寒い……。

なにせもう少しで春というところで、女神が攫われてしまったからな。この世界の人々は寒さに震えているのだ。しかしそれも、女神を助け出すまでのこと……。ほれ、お前の仲間もいるぞ。

おや、貴方もいらっしゃったのですか。

はー。結局いつもの顔ぶれだな。

むさ苦しい……。

なっ……。仲間というのはこの人達なのですか?

ボクらもいるよ。

貴方達は……。確か幽霊だったのでは。

ええ。鬼の力でこっちの世界にいる時は、誰にでも姿が見え、声も聞こえるようにしてもらったのです。

ちぇっ。あの子も来てたら良かったのになー。

勇者たちよ。文句を言わずに使命を果たせ。せっかく我が苦労して6人集めたのだ。

それで、私達はこれから何をすればいいのですか?

決まっている。攫われた女神を救い出すのだ。

面倒くせーからオレはパス。早くもとの世界に帰せよっ。

クク。女神を助けるまで、お前達はここから帰れぬ。

な……なんだと!

お前達がもとの世界に帰りたくば、我に協力するしかないのだ。心苦しいがこれも女神のため。許せ……。

では私は、奇術で帰るとしましょう……。

無理だと申しておる。

むむっ……!?

あらら、無理みたいだね。で? 女神を助けたいのはわかったけど、ボクらどこへ向かえばいいの?

それもこれから、お前達が調べるのだ。

えー。気が遠くなるなあ。

うう。早くお嬢様の為にも、使命を済ませて帰らなくては……。
鬼に連れられて、近未来の世界へやってきた6人。
はたして一行は春の女神を助けることができるのでしょうか?



鬼はーそと。福はーうち。じゃ。