第43話 どきどき幽霊パニック!
奇術によって幽体離脱してしまった姫君。
そこへ街の方からふたりの人影が
近づいてくるようですが――。
お姉さんは幽霊? でも確かにボクたちとは少し違うみたいだね
私はただ幽体離脱をしただけで……
ガタガタガタ! ガタガタ!
ラップ音が、先ほどより激しくっ
ナニナニ、フム……
へえ、ここにいるイケメンのお兄さん、お姉さんの婚約者だったんだ。え! 嵐で船が難破!?
あら。この子あさっての方向を見て誰とお話してるのかしら
イケメン……くく、私も捨てたものではないようですね
ちっがーう! そっちの海賊の幽霊のお兄さんだよ
何度も会っているというのに、勘違いもはなはだしいですね
海賊……幽霊!? やはり海狼は死んでしまったというのですか!?
あれ? お姉さんたち海賊さんが見えてないの?
なるほど。幽体離脱では見えるものは常人と変わりないと。ではこうしてはどうでしょう、南無南無、ちーん!
ボッフーン!!
姫! 姫!! その姿はなんとしたことだ!
海狼! 本当に海狼なのでございますね!?
ああ。しっかとまなこをあけろ。俺以外にありえぬだろ。しかしなぜ! お前まで命を落とすなど……
やはり……やはり船は沈んでしまったんですか
すまない、姫。お前と祝言を挙げる約束ははたせそうにない
であれば私も連れて行ってください。あなたのいないこの世に未練などあるはずもございませぬ
……そもそも、この状況はなんなのですか。そちらの海賊衆はオレたちと同じようですが、お姫さんは死んだわけではないのでしょう?
何!? そうなのか???
これはですね、奇術師、代わりに説明を
マダム、貴女の仰せのままに。そもそもこの状態は――
………………
(10分経過)
な、なんだと―――っ!?? 俺の姫が幽体離脱とは一体どうすれば!!
人は魂だけではそう長く生きてられないはず。日暮れまでに元の体に戻れなければ……
本当に死んでしまうと申すのですか!?
なんだと! そのような無体誰が許すか!
ああ、海狼……!! いいのです、本望なのですから……!
うわ、また始まっちゃったよ、愛のおふたりさま劇場。兄さん、どうしようか?
そうですねえ。古の神のご神託でもうけたまわってみますか
神さまならこのお姫さんを元に戻す方法も知っているかもしれないけれど、このままのほうが幸せかもしれなくてよ。ウフフ
しかし神の召喚となると、さすがに私の奇術でも難しいですね
これだけ異界の存在が集まってるんだから、面白いマネでもすれば呼び出せるんじゃないの?
……天岩戸ですか……
何っ、分かった、姫のためならばこの俺がっ!!
おやおや、何やら愛しき姫を助けるために
海狼がひと肌脱ぐようですね。
果たして古の神は呼び出せるのでしょうか?
それでは次回
「至高のギャグを考えろ!」
お楽しみに!
ふふ、これは面白い。こんな港町で幽霊モドキに出会うとは。