大人の女性向けラブコメシチュエーションCD『Muse(ミューズ)』シリーズ。
前回の「【感想】『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~ CV. 鬼龍院アキラ』を聴いたら職場の先輩という別人格が僕の中に生まれた」に引き続き、絶賛発売中『Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~』の新入社員・鷺崎によるコラムが到着しました!
『Muse』シリーズで描かれるドラマ、そして第2巻に登場する市原涼真の魅力についてご紹介します!
こんにちは、鷺崎です。聴き始めた当初、僕は猿飛総司さん演じる市原涼真に共感しようと考えました。
しかし……聴き始めてすぐ、それはできないと思わされました。
なぜならば、こんなに格好いい男子と知り合う機会など、これまでの人生に一度もなかったからです。
「Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~」抑えるのはココ!
- あなたに変身の魔法をかけてくれるのは、気鋭の“美粧師”市原涼真
メイクを通して、あなたの内に秘めた美しさに気づいた彼の猛烈アプローチが始まる! - 褒め上手(ルビ:うま)男子×褒められ苦手女子のドラマが展開
本気の気持ちを受け止めてもらえるまで、愛され、頼られ、褒められる♡ - 気づけばあなたにメロメロな美粧師に熱く求められて……♡
豹変も無理矢理も一切なし!とっても優しい彼にどこまでもリードされる……! - 女神(あなた)と出逢って変わっていく二人の物語
「内面の美」をテーマにしたトキメキいっぱいのハッピーエンドストーリー!
猿飛総司さん演じる気鋭のメイクアップアーティスト
僕は市原涼真のようなメイクアップアーティストの方と会ったことは一度もありません。メンズメイクも縁がなかったですし、まして女性相手では……。
涼真はライブメイクショーで、いかに自分がメイクを好きか、こだわっているかを一生懸命に語ります。
「仕事に人生に一生懸命な男性」──『Muse』シリーズを表すキーワード。
こんなの好きにならざるをえません!
褒め上手男子「市原涼真」――めちゃくちゃ褒めてくれて自己肯定感が爆アゲ
本編が始まると、猿飛総司さんの演じる市原涼真がとにかく褒めてくれます。
涼真の美男子っぷりが、ここぞとばかり炸裂します。
「キミが元々していたメイクですが、僕は好きだったし、キミの雰囲気によく似合っていました。だから……」
「いや! 毎回毎回素晴らしいんだよ? でも回を追うごとに、キミはどんどん生きるパワーというか輝きを増していってて……」
え…まさかわたしってキレイだったかな?
自信持とうかな?
そんな気持ちにさせてくれます!
ふたりのキュンなやり取り(幻聴)がただただ尊い。そんな1トラック目。
涼真の声に確かな説得力を感じるのは、猿飛総司さんの演技があってこその賜物。
だけど僕も、今からでもなれないだろうか。
市原涼真のように素敵な言葉を誰かにかけられるようになりたい。
涼真のようになるためにはどうしたらいいか、涼真のどこが魅力的なのか……。
……。
そんなことを考えながら聴いているうちに、気づけばこのシチュエーションCDの『主人公』、つまりヒロイン目線で涼真のことを好きになってました!!
気づけばあなたにメロメロな美粧師に熱く求められて……♡
Tr.4「彼のマンションでメイクの後……♡」では、その涼真からのアプローチが頂点を迎えます。
この市原涼真という男、メイクを通じて触れるうちヒロインにゾッコンでした。そんな下心を一切見せないまま、シームレスにエッチへと移行します。
こ、こいつ、デキる……!!
メイクアップアーティストの心揺さぶるトークに惑わされ、ここに至るまで、僕はこのシチュエーションCDがR-18であることを忘れていました。
そして目線は既に、「ヒロインから見た涼真」にセットアップされています。
こうなるともう辛抱たまりません。なんというか、有り体に言ってヤバいです。
それまでの自信たっぷりの褒めとは裏腹に、涼真はこれ以上我慢できないと、苦しげなままにヒロインの身体を強く求めます。
その先で囁かれる愛の言葉が、マジで効きます。反応の良さを、余裕のなさを、ひとつひとつ可愛いと喜んでくれるのがとてもグッドです。
涼真の優しいリードに身体を委ねているうちに、今度は涼真の方も余裕がないことがわかってきて……んも~!!こんなにも愛されてるな~!!
特にヤバかったのは涼真が自分の名前を呼んでほしがるところ!ここは後半のエッチシーンにも繋がる部分なのですが、名前を呼ぶのも恥ずかしいくらいの関係性が!身体と身体を通して!!気持ちが!!もう!!!アッ!!!
……フー。
急に語彙がなくなってしまいましたが、どうか許してほしいです。少しでも気になった方はすぐに聴いていただければと。
『Muse』公式サイトやひつじぐも公式通販ページでは、なんとベッドシーンの試聴もできます。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
女神(あなた)と出逢って変わっていく二人の物語
市原涼真が見出した、ヒロインの持つ『内面の美』という魅力。
『Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~ CV:猿飛総司』では、涼真の台詞でヒロインのことを「僕のミューズだ」と呼ぶシーンが印象的でした。
猿飛総司さんもインタビューの中で答えていましたが、真っ向からそんな表現を使っても違和感を持たないのが、涼真の涼真たるポイントでしょう。
シチュエーションCDシリーズの2巻目、中盤にしてタイトル回収するのは随分と早い気もしますが、この後に続く3巻では、横文字が苦手そうな無骨な男が出てくるので、今しかないですね。
「君といることで気づいた。こんな自分がいたなんて」──お互いを変えるほどの、運命の出会い。
僕自身は涼真にもヒロインにもなれないけれど、そういうものがあるといいなと感じました。
誰もが憧れるラブコメこそ、現代の神話と呼べるのかもしれません。
人を前向きにするエネルギーが、このシチュエーションCD、『Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~ CV:猿飛総司』には詰まっていました。
皆さんもあこがれの向こう側で、市原涼真とヒロインに出逢い、ぜひこの眩しさを感じてほしいです。
■『Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~』商品情報
タイトル:Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~
発売日 :2023年7月19日(水)
価格 :3,080円(税込)
発売元・販売元:ひつじぐも
【出演】
猿飛総司
【公式サイト】
https://hituzigumo.com/p/muse/
おや……
お客さん…スクロールしてしまいましたね?
実はそんなことを考えながら、僕が賢者タイムに書いたSSが今回もこちらにあります。
クドいから削れとボスに言われましたがどうしても皆さんに読んでほしいのでこっそりと最後に残しておきました。
ここだけは「ない話」ですみません。
僕が賢者タイムに書いたSS
連休明けの重い身体を無理矢理動かして会社まで辿り着いた私を、同僚たちの甲高い声が出迎えた。耳に響く高音に内心で辟易しながら、それをなるべく顔に出さないようにして自分の席に座り、PCの電源を数日ぶりに入れる。
入社してからの二年で、それなりに遅くなったシステムの起動を待ちながら、同僚たちの世間話へと聞き耳を立てる。最速で勤怠管理システムにログインするまでの間、モニタの前を離れられないし、他にやることもないから。
「本当なの? それ」
「本当よ! 見たのよ、私、涼真サマに───さんが指名されて、ステージに呼ばれて」
普段聞き流す有名人の名前と一緒に、私にとって聞き流せない名前が聞こえた。私のデスクの、ひとつ隣の部署の同僚。私の入社から少し遅れて、一年半ほど同じフロアで働いている女性社員。
その子は、言ってしまえば『冴えない女』だった。
日常生活の中で、メイクにどの程度の手間と時間をかけるかは人によって全然違う。簡単なメイクしかしていなくても、自分に必要なものを理解していて、魅力的に映る人はいる。その逆で、自分の魅力を勘違いしたまま、軽い処理だけで十分だと思ってる残念な人もいる。
でもあの子の冴えなさは、そういった無知ゆえのナンセンスさじゃない。時間も手間も、試行回数も重ねているであろうそのメイクが、自分自身の持つ魅力と微妙に合っていないタイプの冴えなさだった。そんな自分が冴えない存在であることを、その子自身も理解していた。
そんな挫折と諦念が、地味めな色とデザインでまとめたコーデからも伝わってきていた。
……ま、そんなの全部私の想像なんだけど。でも、それなりに合っている自信はある。別に、答え合わせの機会なんかないけど。
つまり……私はそれだけ見ていたのだ。彼女のことを、そんなふうに想像するくらいには。だからその子の名前は、私にとって『聞き逃がせない名前』だった。
「それで、キレイになってたの?」
「ビックリしたわよ! なんかもう、印象全然変わってたのよ!」
「ほんとに? やっぱり涼真サマってスゴい!」
「けど、あの子ったら急に泣き出しちゃってね。意味わかんないわ……涼真サマ推しだったのかしら?」
聞き流すはずの有名人の名前の方にも、私は覚えがあった。メイクアップアーティストの市原涼真のことだろう。確か最寄りのターミナル駅に併設された百貨店で連休にライブメイクショーを行うんだとかって、先週誰かが話していたのを聞いた気がする。
断片的な言葉を繋げると、私の脳裏に嫌な予感が広がっていった。市原涼真のメイクを、あの子が。キレイ。印象。──泣いたって、それってどこからどこまでが本当の話?
詳細を知るために、おしゃべりな同僚たちに話しかけるかどうか内心少し迷いつつ、勤怠システムにログインする。『出勤』のボタンをクリックするのと同時に、話しかけるまでもないと判断した。だって。
「でも、それが本当なら、今日……」
「そうよ、出勤してくる時にどういう格好してるかでわかるはずよね」
そうなのだ。文字通りの『百聞は一見にしかず』。胸の内で渦巻く混乱を堪えながら、ついさっき自分が入ってきたフロアの扉を見やる。
数人の男性社員が挨拶をしながら入ってきた後、その子が現れた。
「……!」
いつものように小さい声で「おはようございます」と言ったその子の姿を見て、私は息を呑んだ。
視界を隠すように伸びていた前髪を横に流し、輪郭から目元を見せるような大胆なメイク。首から下はいつもと殆ど変わらないモノトーンコーデなのに、地味という印象はどこかにかき消えている。
さっきまで大声で噂話に興じていた同僚二人も、同じように彼女を見て唖然としたまま動かなくなっていた。硬直する私たちに気づいて、その視線の先を追った男性社員も、同じように目を見張っている。
無理もない。たったメイク一つで人間がこれだけ変わるなんて、思いもしないだろう。
──だけど、私は違った。気持ちの置きどころが、同僚たちと少しだけ違っていた。彼女の姿を見るたび、そのたったメイク一つが変わりさえすれば、と思っていた。
彼女は早足で、私のデスクの向こう側の島、私から数えてパーテーションを二枚隔てた自分の席へ座って、私の席からは見えなくなった。
立ち上がって角度をつければ、改めて彼女の表情を確認することができる。だけどそうする気はもう起きなかった。見たものが全てだと、私は解っていた。
私は勤怠システムを開いていたwebブラウザ上で、隣に新しいページを作って手早く検索ワードを打ち込んだ。『市原涼真』。爽やかな笑顔の写真が、名前の下に何枚か並ぶ。
──あの子を変えたのは、市原涼真だ。しかも、それはライブメイクショーなんていう、一過性のものじゃない……週明けの出勤日に、ヘアスタイルにまで影響するメイクなんてない。もっと深く……市原涼真が気づかせたんだ。彼女の魅力を、彼女自身に。
それに、私が驚いていたのは、彼女の見た目の変化にだけじゃなかった。……私の内で湧き上がる気持ちが、単なる羨望や驚愕じゃなかったことにも、驚いていた。
その名前に心当たりがあった。これはきっと、後悔と呼ぶ感情だった。
脳裏に思い浮かんだのは、私の幼い頃、子どもだったときの原体験。
親がクラスメイトよりも早く買ってきてくれた、児童向け雑誌。お遊びのメイク情報をいち早く知って、友達の間で共有したときのこと。まだ何も知らない女の子の友達に、おもちゃみたいなチークを塗ってあげて、とても喜ばれたときに感じた、嬉しさ。そんなものを、私は思い出していた。
──私は今までずっと、彼女を見ながら、そのメイクが変わりさえすれば、と思っていた。……思っていただけで、何も行動しなかった。個人的に話しかけたことなんて、一度もなかった。それがなんだか、無性に悔しかった。全部全部、今更なのに。
通り過ぎる男性社員たちが、次々と彼女のいる席に注目しているのが見て解る。席を立って、肩をたたいて、もう遅いよ、見てわからないの、そう言ってあげたかった。誰に? きっと……自分自身にも。
市原涼真の検索結果を閉じて、仕事用のアプリケーションを立ち上げていく。傷ついてはいた。だけど、この後悔を忘れるためには、目の前の何かに没頭するしかないとわかっていた。
「すればよかった」は、いつになってもなくならない。それをひとつでも減らすために、できることがみつかりますように。そう願いながら、私は何度も以前のあの子の顔を思い浮かべていた。