第7話 独房、新装オープンしました
おや……?
しばらくぶりに、何やら懐かしい声が
聞こえてきますね……。
ここは静かな(?)独房の中なのですが……。
は、はい。そうですね(ソワソワ)
ふつーにしてても、この俺様の魅力っつーのは隠せねーんだよな。
そ、そうかも知れませんね(ソワソワ)
…………。
…………(モジモジ)
つーか! お前、何落ち着かなねー感じになってんだっ!? せっかくこうして催眠騒ぎ再開したっつーのによ!
だ、だって、それは……それは……。
何だよ?
だだだだってっ……なっ、何なんですかっ!? この壁中の「SAIMINLOVE」って!!!
ん……?
シスターは、真っ赤な顔をして、独房の壁を指さしました。
ああ、これ、面白いだろー。この独房、色気もなーんもねえし、つまんねーから、改装してやったんだぜ。
だ、だからってこんないかがわしいピンク色で。こんな……っ、こんな……っ!!
ああ? いかがわしいって思う方がいかがわしーんじゃねえの? ……まあでも、そりゃそうだよな。シスターの聖女っぷりは本当は……。
バンッ!!
止めてくださいっ!
いっ……てー……。叩くことねーだろ。
私は神に仕える身! そのように汚れた心は持ち合わせておりません!
ふうん。じゃあ、純粋にエロ――。
バシッ!!!
……まーた殴ったな? シスターが手を上げていーのかよ!
だ、だって……だって……。
ふんっ。まあいいや。それよりこれ味見してみろよ。
……何ですか? それは。
バレンタイン用のチョコ回収してきた。それで今、チョコケーキ制作中~♪
そうなんですか。ケーキが作れるなんてすごいですね!
おう! 俺様は何だってできるぜ!
本当にすごいです! いい匂いもして……。
って、ダメじゃないですか! ここでお料理なんてしていいはずがありません! ああ、どうしてすぐに気づかなかったんでしょうか。私としたことが……。
まあそう落ち込むな。これ、なかなか美味いぞ?
そういう問題ではありません!
食わないのか? まあじゃあ、何だったら、このケーキお前の大事な鳩にやってもいいけど……。
鳩……?
だって初めてお前と会った時、教会で鳩に餌やってたじゃん。あん時は、びっくりしたぜー。お前、何でもやりすぎなんだよ。
あ、あれはですね。お腹が空いてるようだったので、たくさん餌をあげようと……。
へえ。シスター、鳩の声まで分かるんだ?
何となくですよ! 何となく。
可愛いじゃん。やーっぱ俺のシスターは最高だねー……。
い、いつから貴方のものにっ!??
ん? 違うの? あんたはもう、俺のもんだろ? 餌やりすぎて鳩にたかられて鳩人間になってた時から、その最初から、目が合った瞬間から、シスター。あんたは俺のもんだ……。
な、なにを……っ。
ほら、素直になれよ……。
そそそんなに近づかないでください……っ。
ふうん。そう……。ほんとは、もっと……だろ?
おや? お熱いですねえ。
ん?
きゃあっ!!
ドンッ
ってえ……。
おやおや。お可哀相に。突き飛ばされて。
はあ? 何だよてめー、急に。つーか、どっから入ってきた?
普通にこちらの入り口から入ってまいりましたよ。
普通にって、鍵は……。ん? 何かお前どっかで見たことあるような……。
どうも。お久しぶりです。
っ!? ああっ!!!
あなたは……!
突如、囚人とシスターのいる独房に現れた甘味屋。
一体、何事なのでしょうか?
今度の催眠騒ぎも、また何か起こりそうですね。
では次回「白熱のデザート対決」
是非、ご期待ください!
あなたの好きなあの人も……出てくるかも、知れませんよ。
なーんかみんな、俺たちのことが気になってるみてーだよなあ。