第4話 メリークリスマス
~前回までのあらすじ~
存分に日本旅行を楽しんだ執事とお嬢様。
2人はようやく、甘味屋の元までやってきたようです。
ほれ。これを忘れておったぞ。
? ……ああ先日から見当たらないと思っておりました。ありがとうございます。
いいえ。なければ困るでしょうに……。
そうですね。お嬢様にお会いするためのご連絡が取れませんからね。
なっ……! 会う必要はない。
ふふ……そうですか。
おい、甘味屋。それよりもわらわは疲れたぞ。お菓子を出してもてなさんか。
ああ、そうですね。これは失礼致しました。ちょっとお待ちください。
しかし甘味屋、このような店でもクリスマスツリーを飾るのか。
はい、女性はこういうものがお好きなようですから。
……キラキラしていて美しいものじゃな。
お気に召したようでしたら、お嬢様のお部屋にも飾りましょうか。
いや、良い。わらわはこれを見るだけで充分じゃ。
……お嬢様。何と謙虚で可愛らしい……。
がしっ
く、苦しいぞっ。やめんか、執事!
確かにお嬢様の幸せそうなお顔は、何とも言えぬ可愛らしさですね。
なっ……。
甘味屋。お嬢様を褒めたたえて良いのは私だけです。
おやおや。怖いお顔で。さて、私はお茶のご用意をして参りましょうか。
さっさとしてくれ。そして早く城に戻りましょう、お嬢様。
わらわはクリスマスツリーが見ていたいぞ。
お嬢様……!
どうぞ、ごゆるりと。 ……あ。そう言えば、お嬢様のために入手した執事さんの携帯ボイス、聞いていただけましたか?
甘味屋の携帯に入っていたものか?
そうです。
おお! あれには驚いたぞ。わらわにもくれんか。
はい、差し上げましょう。ではこのCDについているシリアルで……。
フムフム……。
ちょっと待て、甘味屋。
ん? なんでしょうか?
何故、甘味屋が発売されたばかりの私のCDを……。
執事さんも欲しいのですか? だったらまだまだこんなにありますが。
どんっ
っ!?
!?? ……い、一体どれだけ……。
そうですね。1000枚は買いましたかね。
ななっ……!
か、甘味屋……私はお前が分からない……。
そうですか? 執事さんの催眠もなかなか好評なものでして。甘味屋でも販売しているのですよ?
貴様はどこまでもあくどいのう……。
いいえ? きちんと正規の値段で販売しておりますので。
では売上はすべていただこう。
何をおっしゃいますか。たんまり稼いでらっしゃるんでしょう?
ん? 執事も何か商売をしておるのか?
し、商売などでは……。
プルルルル
あ、電話が。ちょっと失礼致します。
……はい。はい、お金は私のスイス銀行の口座へお願いします。明細書は日本の方へ。今、日本におりますので。……では。
ピッ
何だったんじゃ?
いえ。何でもございません。
ピラピラ~
ん? 何か紙が降ってきたぞ。
もう例の振り込み明細書が届いたのですね。世界各国にイチジクを卸すのは、お忙しいですよね。
余計な事まで言わなくていい。お嬢様、明細書をいただけますか。
ムム……ちょっと待て。甘味屋、これできんつば何個買えるんじゃ?
どれどれ……そうですね。ざっと10万個くらいでしょうか。
じゅ、じゅ、じゅ……えええええええ!?
……と、待て。それは何日分じゃ?
そうですね。1日、100個召し上がられても1000日分くらいでしょうか。
おおおおおおお!!! 執事、今すぐこれ全部きんつばに変えるのじゃ。
お、お嬢様。それは……。
じゅるり……きんつば……10万個……。
そんな幸せそうな顔をされては……私は……私は……。
では、10万個急いで作らなければなりませんね。これは忙しくなりました。
あ、待て。甘味屋。まだ買うとは……。
そうですか? お嬢様はもう夢見心地のようですが?
きんつば……きんつば……ん~……じゅるり……。
………ああ、お嬢様!
では、後ほど私の口座に振り込みお願いしますね~♪ とても素敵なクリスマスプレゼントになりそうですね。
お嬢様はもう、あま~いきんつばのことで
頭がいっぱいのようですね。
さて次回は第5話。
城に戻ったお嬢様と執事のお話のようですが……。
何者か、飛び入り参加もありそうな予感です。
次回「執事とお散歩」お見逃しなく!
これはこれはお嬢様と執事さん。珍しいですね、今日は何用でございましょう?