プロデューサーの鬼むぅ(島田)です。急な仕事が入って、恋の催眠騒ぎが更新できなくなってしまいましたので、今回の深い霧に包まれた古城の開発秘話を語ります。多少本編に関連したお話をしておりますので、ネタバレを気にする方は本編をお楽しみの上でお読みください。
執事をいやらしくしたい、と思った
今回のモチーフは執事と無花果(いちじく)と砂時計ですが、その発端となったのは、「執事にはケフィアが似合うに違いない」
ここでした。私はビジュアルから骨子をつくっていくタイプの企画者です。なので、ジャケットは「ケフィアらしきもののかかった執事」にしなければならないのでした。
しかし、意味もなく執事にケフィアがかかっているわけにもいきません。だっておかしいし。そこにライターのひとりが、「自分は無花果がいいと思う」と提案。確かにいちじく、調べてみると今回のテーマに最適な禁断の果実です。
ここにプリンセスのために無花果を頑張って育てる執事が爆誕。そんな世話焼き属性な執事ならこんなことやあんなことをしてくれるに違いない、とキャラを肉付けしていきます。
企画当初は無花果の種を食べさせたり爪を整えたりしていましたが、何度も改稿を重ね(結局、10稿以上になってしまいました)、完成へ。……完成稿は初稿とは話もキャラも変わっています。そういえば、当初は彼、お嬢様のことをプリンセスと呼んでいたんですよね。一応お嬢様、古城の主なので。
また、今回、監修に神楽ショウさんをお招きしていますが、ストーリーから暗示にいたるまで、最終チェックの前段階まで私たちが担当しています。数ヶ月前の資料を見ると、暗示を入れる縛りには苦労している節が見受けられますね……。
さらに、今回はお嬢様と執事のSM的な主従関係を強調する試みがありました。音声だけだとあまりわからないのですが、執事の無花果が大好きなお嬢様は執事が持ってきた無花果を奪い取り、むさぼって食べてしまいます。こんなふうにいつもは乱暴で女王様気質、命令ばかりのお嬢様なのです。そしてそれをよしとしてしまう執事。……なんだけど、いざ事が始まると実は。
実は……! ……何なんでしょうね。
お嬢様と執事の関係性に難航
とまあ。一人語りなので、お嬢様と執事の関係性の表現がとても難しかったのですが、そんな企画者とライターの(わりとどうでもいい)こだわりがにじみ出ている作品になりました。全編を通して、夢なのか現実なのかその境界があいまいで、そこが味になっているんですが、そのミラクルは台本執筆者の田中あおさんの持ち味によるものです。
初回盤にはこの二人がいちじく園で過ごすアフターストーリーがブックレットに収録されているのですが、完成原稿を読んでいるうちにふつふつとした疑問が。
「この本編でこのアフターストーリー。ということはこの人達、催眠で遊んでる単なるバカップルにしか……」
「そうなんですよ!」
「というか、この時間の流れだと、 催眠→いちじく(媚薬?)→ティータイム(意味深にいちじくのタルト)→催眠→エンドレス……!?」
「身体が持ちません!」
実際のお話がどうなったか。それは是非本編でお楽しみください。
次回は、第三弾のお話ができればと思います。何かお聞きになりたいことなどあれば、Twitterかメールフォームからお寄せください。