仕事に人生に一生懸命な男性から溺愛される、大人の女性向けラブコメシチュエーションCD『Muse(ミューズ)』シリーズ。
絶賛発売中の第1巻『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~』の、社内スタッフによるレビューが到着しました!
『Muse』シリーズで描かれるドラマ、そして第1巻に登場する仙崎直人の魅力についてご紹介します!
作品のポイント
- あなたの「ヒーロー」に立候補するのは、レスキュー隊の仙崎直人
心配性で熱心な彼からの情熱的なアプローチで、二人の距離は急接近! - 不運体質の苦労性×強運自慢の心配性
分け合う方法として彼が提案したのは……ベッドで身体を重ねること♡ - お互いの部屋で安心安全イチャラブH♡
鍛えた身体のウブな彼、優しい愛撫はだんだん歯止めが効かなくなって……! - 女神と出逢って変わっていく、変えられていく二人の物語
「一生懸命」をテーマにしたトキメキいっぱいのハッピーエンドストーリー!
いつもの当直終わりに(僕のSS)
「仙崎ですか? 先に帰りましたよ」
終礼の後、少し遅れて更衣室に来たおれに、仙崎と同期の隊員がそう告げた。誰を探しているのか、まだ言葉に出していなかったのに、あっさり看過されてしまったことに、内心では少し焦っている。
「携帯見て、急いで着替えてすっ飛んで行きました」
そんなに急ぐ予定があるとは聞いてなかったのだが。だからこそ、今日も誘おうと思って探していたというのに。
後輩である仙崎とは、当直勤務の後の非番の日に、一緒に少し遠くに出かけては、様々なグルメを食べて過ごしていた。どんな人気店も、平日の昼なら空いている。
ついでに店の近くを散策したりして、暗くなる前には解散。お互い趣味っぽい趣味のない者同士、そういうプチ旅行的な楽しみ方を共有していた──仙崎に彼女ができたなんて聞く、つい最近までは。
肩を落としながら、ひとまずおれも着替えることにする。そういえば異動になった部隊長も、「家庭ができると大変だよ」なんてよく話していたっけ。あいつも女ができると変わっちまうんだな、なんて呟きながら、ジャンパーを脱ぎ、自分のロッカーにしまっていく。
「いや、でもなんか……浮かれてるってより、すごく真剣でしたよ。まるで出動するときみたいな顔して」
ああ、そのシーンは想像がつく。一刻を争うときの、仙崎の真剣な表情。幾度となく見てきた、使命に燃える消防隊員の顔。今は勤務時間以外にも、あいつにそんな顔をさせる奴がいるらしい。
なんでも件の彼女というのが、不運体質? というのか、ありとあらゆるトラブルに巻き込まれるような所があるのだという。だから自分が常に目を光らせていないと安心できないのだと。
その女が間抜けなだけだろ、なんて考えてはいたけど。でも彼女のことを話しているときの仙崎の目には、確かに真剣味が含まれていた。
自分の持つ強運と、今まで培ってきた技術で、その人を守ってあげたいと……あいつはきっと本気でそう思っているんだろう。
そうだなあ、なんて気のない返事をしながら、おれは自分の胸のもやつきを再確認していた。それは嫉妬というよりも、寂しさが勝っていることを自覚しながら。
「そんな見るからに落ち込まんで下さいよ。メシなら俺が付き合いますって」
目の前の同僚が笑いながらそう言ってくれたことで、おれの心はちょっと救われていた。
──そうだな。消防隊はただでさえ出会いのない職場なんだし、仙崎が少しでもうまく行くよう、今日はおれたちでいい店でも探しといてやるか。女の子と一緒に入れるくらいオシャレで、かつアイツもたらふく食えるような店をさ。
【感想】とタイトルに書かれている記事を開いたのに突然SSが始まって、読者の皆様を驚かせてしまいすみません。
これは僕がシチュエーションCD『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~ CV:鬼龍院アキラ』を聴いたときに幻視したシーンです。徹頭徹尾、全部「ない話」です。
物語と共感
ということでここからは「ある話」をします。
現在ひつじぐもに入社して音声作品のいろはを学んでいる男性社員の鷺崎と申します。ホームページのいちコラムを任されておいて何なのですが、僕は入社するまでこの手のシチュエーションボイスというものを、殆ど聴いたことがありませんでした。
僕が実際に『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~』『Muse ~変身させて溺愛する私の美粧師~』『Muse ~いつも私に勝てない剣道師範~』の三作品を聴き向き合ってみて思ったことは、そこに物語がある以上、共感からは逃れられないということ。そしてシチュエーションCDという聴覚に訴えかける媒体が、共感を想起させるのにとにかく強力であるということです。
本来であれば、女性目線で『Muse』1巻のメインキャラである、仙崎直人に対して恋をするのが一番の正道だとは思うのですが……仙崎直人がメチャメチャにいいヤツであること、同時に仙崎直人から語られる『主人公』像が、これまたスゴく素敵な女性であることから、「仙崎直人とプライベートを共に過ごしていたが、急に彼女ができてつれなくなった直人を寂しく思う職場の先輩」という人格を生み出してしまいました。
直人の良さを一番知っているのはどう考えても俺
『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~』に登場する仙崎直人は、男性目線で見たときにも魅力的……というよりも“スゲーいいヤツ”として目に映ります。
鬼龍院アキラさん演じる仙崎直人は、作中でも語られているように、幼い頃からのレスキュー隊員になるという夢を叶えて今に至ります。
夢を叶えた大人としての充足感。それと同時に脳裏へと浮かぶのは、レスキュー隊という職業に就くまでの厳しさ、そしてなった後も救助の現場で生きていくという、険しき道のり。
自分の意志で努力し続け、高く難しい壁を何度も乗り越えて来たという自信が、仙崎直人を演じている鬼龍院アキラさんの声色からは伝わってきます。
仲間から信頼され、明るく、そして好きな食べ物は肉。気はやさしくて力持ちを地で行く男です。同じチームに居たら頼もしいことこの上ない。メシとか絶対美味しそうに食べるし、初めて入る店でも大盛りにするヤツです。
そして彼が活躍する消防隊という現場は、2023年現在だと男性がどうしても割合の多い男社会であり、女性との出会いの少ない職場です。だからこそ、直人の良さを一番理解っているのは俺たち消防士(男性)だ、となる訳です。ぽっと出の女に直人のいいところなんてわかりっこないのです。
当直明けに軽く筋トレしたのち、一緒にメガ盛りが売りのメシ屋へと片道一時間くらいかけて行き、前後に店の近所にあった神社で野良猫を見つけたりして、そして食べ終えてから暗くなる前には解散し、お互いの自由時間を大切にすることで気安い関係を維持したい訳です。大丈夫ですか? ここまで着いてこれていますか?
君を守るためそのために生まれてきたんだ
そして、鬼龍院アキラさんの演じる仙崎直人を、男性目線で見た時に魅力的に見える理由はもうひとつあります。それは直人が、おれたちにできない事を平然とやってのけたこと。
……おれ『たち』と言ったのには誤解があるかもしれません。少なくとも僕自身が彼に対し一番尊敬している部分は、たった一人のためにこの命を使うと宣言したことです。いつかは大切な人を守って散りたいという理想が自分にもあったことを、仙崎直人を演じる鬼龍院アキラさんの声を聴いていて思い出しました。
この特定の誰かを守るという欲求は、決して旧態依然なマッチョイズムから来るものではないと考えています。シチュエーションCDという媒体に限らず、対戦ゲームではダメージを出すよりもタンクやヒーラーに興味を持つプレイヤーや、生命の粉塵を切らさずに持っていく心根の人には、きっと共感できる部分があると思います。
そうした遠き理想を叶えるには、誰かを助けられるだけの力や覚悟が必要です。相応の力を持たない登場人物に世界の命運が託されるタイプの物語もこの世にはありますが、そこには安心感がありません。
直人は幼い頃からの夢を叶えるという形で、自分との折り合いをつけてきたからこそ、いざという瞬間が来たときに自分の女神つまりヒロインに手を差し伸べることができたのです。
ひとつの命を救うのは無限の未来を救うこと
そしてヒロインにも、鬼龍院アキラさん演じる仙崎直人から手を差し伸べられるだけの理由があります。
幼い頃からヒーローに憧れ続けて来た直人は、必ず目にしているはずの言葉があります──「困っている人がいたら、迷わず救いの手を差し伸べる。それが真のヒーローだ」。
自身の体質に頓着することなく、目の前のトラブルに対して向かっていく『Muse』のヒロインの生き方。『不運体質』というものが本当にこの世界にあるとして、そのトラブルの半分は、彼女自身が手を伸ばさなければおそらく起きなかったことでしょう。それでも彼女は考えるよりも先に、心と身体が動いてしまう。手を伸ばさずにはいられない。
そんな性分も起き得る結果も、すべて理解した上で、目の前にいる人の本質が、昔自分が憧れたヒーローと同じだと気づいたからこそ、直人は覚悟を決めて「俺に守らせてくれ」と宣言したのです。守られるだけの女の子じゃない、守るに値する女神だから。
これは『孤独なヒーローを誰が守るのか』という問題に対する解答の一つであり、関係性として非常に強固なものだと納得するに足りうるものだと思います。
そうやって始まった「俺に守らせてくれ」が次第に、「俺に幸せにさせてくれ」へと変わっていく──。二人の間に生まれた感情がこれからどんな風に大きくなっていくのかは、シチュエーションドラマ本編を聴いていただければ、納得していただけるでしょう。
直人と彼女の間に分け入ることなどできないと理解し、それでも背中を押す役として直人の隣に居たいと思ったからこそ、僕の中に『職場の先輩』という人格が生まれたのでしょう。
そりゃあ最初は誘いを断られて寂しく思うでしょうが、直人の言葉で『Muse』のヒロインの人となりをじきに理解し、ならしょうがないなと納得する日は、きっとそう遠くないはずです。
以前に直人と一緒に行ったパスタ屋で、例の彼女と楽しく過ごしているといいな、あの店なら焼きたてのパンも食べ放題だしな、と思いながら、今日は当直明けに別の同僚と一緒に、遠方の二郎系ラーメンに昼から並ぼうと思います。二人に幸あれ。読んでくれてありがとう。
■『Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~』商品情報
タイトル:Muse ~救いたがりの私のレスキュー隊員~
発売日 :2023年7月19日(水)
価格 :3,080円(税込)
発売元・販売元:ひつじぐも
【出演】
鬼龍院アキラ
【公式サイト】
https://hituzigumo.com/p/muse/