第39話 兄弟に聞け!
山を降りてきたクモとサソリは、神社にたどり着きました。
サソリがなにか地面に書いているようですね。
当たり前だ。っていうか、こんなことしなくても、あいつは間違いなく転生してるってのに……
貴様が行き先を間違えて、あんな雪山に連れて行くからだろうが
だからこうして、本当にあいつが転生したかどうか聞いてみるんだよ。ちょっと待ってろ
さっきからなにをやっているのだ。地面にわけのわからん図を書いて……
ちょっとした儀式ってやつだ。魔法陣を書いて、あとはこのお札を設置して、っと……
ボン!
うぉ! 図形が爆発した!?
うーん……うるさいですね
なんなんだよー! せっかく気持ちよく寝てたのに!
よし、成功した
なんだこの少年たちは。これもまた人間ではないようだが
アンタたち、ボクたちのことが見えるの?
オレたちを呼び出す札を持っていること、札があるとはいえオレたちを呼び出せたこと……
どうやらただの人間というわけではないようですね
オレたちは、ある人間の魂を追ってる吸血鬼なんだ。お前らはあの世の住人なんだろ?
へぇ、吸血鬼か。だったら、ボクたちのこと知ってても不思議じゃないかも
サソリ。お前はどこでこんな知識を……
お前と違って、見聞が広いんだよ
しかし、これは好都合だ。おい貴様ら。我らが探す彼女の魂が生まれ変わっているのか、教えてもらおう
やれやれ、人に教えてもらおうというのに、態度が大きい人ですね
あんまりエラそうにしてると、なんにも教えてあげないからね!
貴様こそ、子どものくせに口の利き方がなっていないようだな
子ども!? ふざけるなー! ボクら兄弟は年を取ってないだけで、すっごく長生きなんだからな!
長寿がどうした。私たち吸血鬼もずいぶん長生きだが、張り合うか? ん?
もー怒った! 兄さん、もう帰っちゃおうよ! あの子といっぱい遊ぶために、もっと寝なきゃ!
そうですね。確かに、今は起きる予定でもなかったし、かなり眠いですから……
ちょ、ちょっと待った! せっかく呼び出したのに、そのまま帰られてたまるか!
ふんだ。ボクはぜーったいになんにも教えてあげないからね! だよね、兄さん?
オレは別にどっちでもいいですけどね
ならば貴様でいい。彼女がそっちにいるのか生まれ変わったのか、教えてもらおうか
なんでお前はそう偉そうにしてんだよ! ほら、謝って!
サソリやめろ! 私の頭にさわるんじゃない!
ほら、こいつも反省してるからさ! ごめんなさいっ!
む~……そんなのでだまされないからね!
当たり前だ。誇り高き吸血種たるこの私が、こんな小生意気な子どもに頭など下げられるものか!
すまん、ごめん! どこに行ったか、とまでは言わないから、あの世にあいつの魂がいるかどうかだけ教えてくれ
クモの奴も、あまりに寂しすぎてちょっと最近イライラしてんだよ。おかげでこんなに白髪も増えちまって
ばっ!? 馬鹿者! 私の髪は白髪ではない!
頼むから、ちょっと黙ってろよお前は!
面白い人たちですね。ちょっと眠気がさめてきましたよ
それじゃあ……
いえ、面白いので教えてあげません
ドSかよお前は!
まぁ、そろそろかわいそうになってきたので、調べてあげましょうか
えー! 教えちゃうの?
最初からそうやって素直にしていればよかったのだ
こらクモ!
それでは、ちょっと待っててくださいね
今回だけなんだからな!
ボン!
ったく……なんでこんなに疲れてんだオレは
普通の吸血種であれば、体力的にもこの程度は平気のはずだがな
なにが体力的だ! お前が原因なんだからな!
おーい、戻ってきたよー
あなたたちが探している人の魂は、確かにこちらにはいませんね。聞き込みをしたら、転生するのも目撃されています
そうか。ご苦労だった
にーさん、やっぱりこいつ呪っちゃおうよ!
それはカンベンしてくれ! じゃ、じゃあオレたちは行こう、な? クモ。ほら早く行くぞ! さよならー!
おいサソリ、ひっぱるな!
ダダダダッ!
えーい、手を離さないか!
はぁ……最後まで手間かけさせやがって。とにかく、あいつが転生してるのはこれで間違いないな
あの世の住人がじきじきに調べたのなら、私にも異論はない
やっぱりオレの嗅覚は間違ってない。さぁ、アイツを感じるのはあっちだ!
今度こそ彼女に会えるのだろうな……
彼女の転生をハッキリ確かめたクモとサソリ。
次の目的地を目指すようです。
今度こそ、二人は彼女に出会うことができるのでしょうか?
本当にそんなもので、彼女が転生したか確かめられるのか?