第14話 奇術師の謎
~前回までのあらすじ~
奇術師の行うマジックに皆が乱入し、
ステージの上は大騒動となりました。
そして更に、甘味屋が何やら催眠を使って、
また怪しげな事を思いついたようですね……。
さて今回は、どうなることやら……。
まさか甘味屋……。
あ? 青い顔してどうしたんだ?
青い顔はしておりません。速く甘味屋を止めなければ……!
さあ、私がこれから言うことに耳を傾けお聞きください。そうすれば体は自然と楽~になり気持ちのいい感覚へといざなわれていきます。
え……?
ダ、ダメだ。シスター! 聞くんじゃねえ!!
私の声は皆様方のお耳の奥底へ、そして心の中へ、そして……快楽の中へ……。どんどん体は気持ちよくなり、私しか見えなくなる……。
わわ……。
シスター!?
ううう……。
お嬢様!
あら~。面白いことになってきたじゃない。お客様達もみんな、甘味屋さんに目がハートだわ。
おや。貴方は大丈夫なのですか?
ええ。私はあなた以外には、そう簡単にかかりませんわ。
ははっ。甘味屋、残念だな!
…………。
ほら、深く、ふか~く、貴方の快楽は沈み込む。どんどんどんどん……私の声をもっと聞きたくて堪らなくなる……。
いいから早く、幕を降ろします! 切り上げなければ、ここにいる女性すべてが大変なことに!
ふふっ。そうですわね。
ザザザッ
こうして幕が降ろされたわけですが、その後は――。
はぁ。しっかしすげーな! 甘味屋。
あなたも修行を積めばできるようになりますよ。
へえ。おまえ、修行してきたのか。
自慢できることではありませんよ。危うく大変なことに……。
そうじゃ。わらわなんか、散々な目に遭ったぞ。
そ、そうですよね……私もです。
と、皆がステージから降り雑談をかわしていた時でした。
カレー、おいしいよ~。
あ? この声、どっかで聞いたことあるような……。
おお! 貴様、インド料理コーナーで何をしているのじゃ?
私特製のカレーをお配りしているのですよ。インドまで行って修行してきましたので美味しいと思います。お嬢様もいかがでございましょう?
そうなのか。うむ。もらうぞ。
おー! お前はカレーの修行してんのか。俺にもくれよ!
…………。
おいっ! 返事しろよ!
…………。
突然黙って、どうかされたのですか?
……キミタチのコトバ、ムズカシイネ。
はあっ!??
おや。愉快な方ですねえ。
ちっとも愉快じゃねえっ!
ふふふっ。彼は男性に話しかけられるのが少々苦手なんですよ。悪気はないので申し訳ありません。
……ちっ。十分、悪気あるだろーが。
キンパツのヒト、ナニカイイマシタカ?
…………。
むむむ。このカレー、美味いぞ! シスターも食べてみろ!
え? あ、ありがとうございます。では……。
ん! 美味しい! こんなに美味しいカレーは初めてです!
あら。良かったですわね。インドまで行った甲斐があったというものですわ。
はい。その折は大変お世話になりました。今夜はたっぷりとお礼をさせていただくつもりですよ……。
ふふっ。それは楽しみだわ。
……礼とは何じゃ?
あー、それは多分なあ――。
お嬢様! もう、この方々の元で長居は禁物でございます。そろそろお部屋へ引き上げましょう。
なに……? まあ今日は疲れたから、戻ってやっても良いぞ。
じゃあシスターは、今夜俺といいことすっか。
な、何を言ってるのですか!
まあ気にすんな。ほら、行くぞ。
きゃあっ! か、か、担がないでくださいっ!!
……ほほう。では私は……これを読んでいる貴方の元へ参りますか……。
こうしてドタバタの中、お開きとなった宴。
甘味屋がこれから貴方の元へ向かうかも……知れませんね。
では次回のお話は「またしてもお茶会へ」
次回もぜひ、お楽しみください!
さて皆様。大変お騒がせを致しました。これより皆様方を素敵な世界へお連れいたしましょう。