第30話 お探しなのはどの女性?
猟師から泉の場所を聞きだした一行。
早速、泉に辿り着いたようですが……。
近くに、人が住んでいる痕跡は見当たらないですが……。
おい、あれ見ろよ!
突然泉が光りだし、中から人が現れました。
私は泉の精……。
泉の精だと?
不思議ですね。私の愛する方に瓜二つの女性がいらっしゃるとは……。
いやいや、どう見てもその奥様だろーよ。
もしや、お前が人攫いなのか?
まあ、人攫いだなんてとんでもない。貴方達は、人を探していらっしゃるのですか?
そうだ。攫われた、春の女神を探している。
そうですか、それでは少々お待ちください……。
ちゃぽん
……貴方達の探しているのは、この人ですか?
ん? なんじゃ、ここは。
あっ、お嬢様!
おお、数時間ぶりじゃな。
いや、この女人ではない。
違ったようですね。
ちゃぽん
ああっ、お嬢様ー!
……では、この人ですか?
こ、ここは一体? 私は教会に居たはずなのですが……。
シスター。こんな所までオレを追いかけてくるなんて……よっぽどオレに会いたかったんだな。
なっ、何を言っているのです。貴方こそ、監獄でちゃんと今日の務めを果たしたのですか!? というか、何故こんな所に……!
いや。この女人とも違う。
違ったようですね。
ちゃぽん
あっ、シスターは置いていけよ!
……では、この人ですか?
んー? ここどこ……?
あっ。にーさん、あの子だよ!
本当ですね。こんな所で会えるなんて。
いや。この女人でもない。
違いましたか。
ちゃぽん
ちょっと待ってよ、せっかくあの子と話してたのに!
……では、この人ですか?
あら、紫龍ではないですか。
これは師匠。いつお会いしても見目麗しく……。
いや。この女人は違う。
違いましたか。
ちゃぽん
慌ただしいですね。せっかく師匠とお話していたというのに……。
では、これで最後です。貴方が探しているのは、この人ですか?
すーすー……。
ああっ! そこにいるのはまさしく女神! そうだ。その人こそ我の捜し求める人だ!
ほほ。貴方はなんて正直者なのでしょう。ご褒美に、今までお見せした全ての女性を返してあげましょう。
キラキラと池が光ったかと思うと女性達が目の前に現れました。
ここ、なんだか寒いのう。ぶるる。
お嬢様っ、すぐにひざ掛けをご用意いたします。
まったく貴方は、いつも牢を脱出して……。
ちぇっ。こんなとこでもお説教かよ。
あれ、2人とも随分と、姿がハッキリしてるねー。
ええ。こっちの世界だと、誰からも見えるんです。
わーい。一緒に遊ぼうよ!
紫龍、私は何故こんな所に……?
フフッ。師匠を想う私の気持ちが天に通じたのでしょう。
みんながそれぞれの再会を喜ぶ中――。
さて。この方は、まだ眠っているので貴方に直接渡すことにしましょう。
おお、やっと会えた……春の女神。我が媛よ……!
ぐー。
媛、もう目を覚まして良いのだぞ? そうか、いつもの目覚めの挨拶をせねばな……。
チュッ
Zzz……。
やっと出会えた鬼と女神。
女神は目を覚ますのでしょうか?
ここが噂の泉だな。人攫いはこの近くにいるのか……?