ドラマCDディレクターの仕事内容②:製作~発売まで – 「ドラマCDディレクターって何するの!?ひつじぐもの製作舞台ウラ」
第2回に引き続き、ドラマCDディレクターの具体的なお仕事内容を紹介して参りましょう。今回はドラマCDを構成する2大要素である「イラスト」と「シナリオ」の製作過程から、運用フェーズへと移り、そして発売までの流れです。最後まで読んでいただければ、ドラマCDディレクターについての知識は文句なし! なレベルに達していただけるはずですので、今回もどうぞお付き合いくださいませ。
アイデアを「形」にしていく製作段階【イラスト・シナリオ・コピーライティング編】
「ドラマCDってどうやって作られてるの?」と考えたとき、誰しも気になるのはやっぱりイラストとシナリオの部分ではないでしょうか?
企画会議で生まれたその作品の世界観をより明確に表現してくれるもの、それがイラストとシナリオです。ドラマCDを作るうえで非常に重要なフェーズと言えます。
ではそんな重要な局面で、ディレクターは何をするのでしょうか? イラストとシナリオそれぞれの製作ラインに分けて見ていきましょう。
イラスト・パッケージデザイン製作
指示書の作成・イラストの監修
実際にイラストを描くのはイラストレーターさんなので、ディレクターは「企画を実現するのにどんなイラスト、素材が必要か」を指示します。
ドラマCDのイラストと聞くとキャラクタービジュアルをイメージされると思いますが、実はそれだけではありません。ここでディレクターが行うのは、「イラストを含めたビジュアル、世界観の構築」です。
……と言ってもちょっとピンと来ないかもしれないので、1つ例を挙げましょう。2017年にひつじぐもから発売した『濡羽の家の祟り婚』シリーズは、“呪い”や“祟り”、“憑きもの(憑き神)”といったホラーなテイストを含むミステリー系のドラマCDです。
この世界観をよりお客さまに感じていただくために、どうしよう? と考えた結果生まれたのがこちら。
じゃん! 観音開きのブックレットです!
この観音開きのブックレットを作るために、神棚のイラストを追加で依頼したんですね。(キャラクターイラスト担当とは別の方です)
憑き神がテーマの作品なので、神棚を意識したデザインに。中を開くと家系図が見られますが、これも巻数が進むにつれて内容が変化していきます。
最近ではダウンロードが主流になりつつありますが、ひつじぐもではパッケージにも力を入れて製作しています。実際に手に取って触れられるプレミア感、ワクワク感をお客さまに感じてもらいたいからです。
「世界観の構築」のイメージ、なんとなく伝わったでしょうか?
より世界観を表現するために、よりお客さまに喜んでいただくために、どんなイラストや素材が必要かを考える。これもディレクターの大切な仕事です。
コピーライティング
ディレクターが行う大きな仕事の1つが、コピーライティング。パッケージや商品説明(あらすじ、キャラクター紹介)などの文章作成を行います。
このコピーがポスターやフライヤー等に掲載されることになります。
限られたスペースの中に、いかに作品やキャラの魅力が伝わるコピー(文章)を収めるか。これもディレクターの腕の見せどころです。
同じテーマでも、「面白そう」と思わせる文章の力。企画書を面白そうと思わせるのもこのコピーライティングの力ですし、お客様に「買ってみたい!」と思わせるのもコピーライティングの力です。
LP製作
ひつじぐもでは商品ごとに特設サイト(LP)を作っています。レイアウトを決定し、あらすじやキャラクター説明文をデザイナーに渡して、LPの製作を進めてもらいます。
※2020年12月現在、レイアウトから考えることはほとんどありません。
シナリオ製作
プロットの作成・シナリオの監修
企画書作成時点でディレクターが簡単なあらすじ(プロット)を作成し、それをシナリオライターさんに渡して箱書きとシナリオを書いてもらいます。
ひつじぐもでは基本的にディレクター自身がシナリオを書くことはなく、あくまでチェック役に徹します。理由は第三者の目が入ることでよりシナリオのクオリティ(監修)を高められるから。
自分が書いたものが、客観的に見ておもしろいか判断するのはとても難しいことです。
そのためひつじぐもには、「ディレクターがシナリオを書く場合は必ず別の担当者がディレクションする」というルールがあります。
余談ですが、他社ではシナリオライターがディレクターを兼ねることが多いのではないでしょうか。音声作品は脚本の重要性が高いので、自分が執筆することで完成品のイメージがしやすい、またスケジュールのコントロールがしやすいというメリットがあります。一方、自分の能力以上にはクオリティが上がらないというデメリットも存在します。クオリティに関しても、それほど脚本のクオリティが最終的なアウトプットに左右されないのではないかという意見もあるんですよね。←役者さんが上手に演技してくださるので。
ゲームほどでなくてもいろいろな職種の人が集まってつくるものなので、能力はかけ算でいきたいとひつじぐもでは考えています。
台本作成・送付
シナリオライターさんから上がってきたシナリオをチェックし終わったら台本化し、音声収録に回します。収録時に声優さんのインタビューがある場合は事前にインタビュー原稿を作成し、台本と一緒に送付します。
収録の立ち会い~音声チェック
収録が完了した音声データを受け取ったら、音声チェックを行います。
静かな部屋でイヤホンをつけて、話の流れにおかしなところはないか、ノイズや聞こえにくい箇所はないかなど、お客さまと同じ目線で聞き込んでいきます。
販促、プロモーション
発売1ヶ月前くらいになると、トラックリストやあらすじなどが大体固まってきます。それに伴い、新譜案内やLPの更新を行います。
この他、販促施策としてSNSで情報発信したり、声優さんのインタビューやキャラクター同士の掛け合い、特典情報をサイトに掲載したりします。このあたりも連携があるのですがいったん省略します。
マスターCDの完成、そして発売!
「マスターCD」とは、プレスする原型です。ちなみにCDとは呼ばれているものの、現在は全てデータで管理をしていて、「マスターCD」が社内にあるということはありません。(昔のタイトルはあるんですけどね、マスターCDが)
営業がそれを製造に回し、店舗へ納品するのですが、発売前にもう一つ。配信サイトへ入稿します。担当の方とやりとりをして確認し、発売! お客さまの手元へ届きます。
ディレクター職のやりがい、魅力は“自分で世界観を作れること”
前後編でお届けした「ドラマCDディレクターのお仕事内容」いかがでしたか? 日々どんなことをしているのかがお伝えできていれば嬉しいです。
第1回でもお伝えしたように、ディレクターの仕事はドラマCDができあがるまでの工程・クオリティすべてを管理すること。そのため、1つの業務にじっくりと取り組むというよりは、いくつもの業務を並行して進める必要があります。
もちろん大変さもありますが、その分自分で作品の世界観を構築できる、より製品のクオリティレベルを上げられる。そういう手応えを得やすい立場です。そこがこの仕事のやりがいであり、魅力、おもしろさだと思います。
さて、全5回の連載も残すところあと2回となります。次回からは、ここまででドラマCDディレクターの仕事に興味を持っていただいた人が感じるであろう「やってみたい! けど、自分にできるかな……?」「ひつじぐもで実際に働いた場合のイメージを知りたい」というあたりにスポットを当てていきます。
引き続きお読みいただければ嬉しいなと思いつつ、今回も(概念上の)筆を置かせていただきます。
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ドラマCDディレクターって何するの!?ひつじぐもの製作舞台ウラ
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