今作のブックレットの一ページです。クラレンス神父の手紙により、貴方と囚人は出会い……物語は始まります――。
今日のレシピは第3弾「黒つるばみの監獄」について。例によってネタバレ注意! です。
黒つるばみの監獄は、数年前から私がさまざまな企業で提案しているノベルゲーム企画の流れを汲むものです。「乙女はワルいくらいの男のほうが好き」という個人的な信念にもとづいています。
ちなみに元企画は刑務所も囚人も関係ないのですが、どの会社に持ち込んでも一番食いつきがいいのに、「面白いが、そのネタ危険すぎて弊社でリリースするにはちょっと」と言われ、運用されません。
よし、今日もぎりぎりなネタをひねり出すぞ。
さて、今作の挑戦はいくつかあるんですが、一つは、催眠に特徴的な「ですます調」の脱却です。
あなたは~です。~しています。などの言い方は、催眠に誘導しやすいのは確かなのですが、「THE 催眠」演出が色濃いのも確かです。また、口調が限られるせいで、キャラクターの差別化が難しくなってきます。実際、恋の催眠騒ぎ執筆の初期段階は、この点でオーナーと執事の口調、性格のすりあわせにかなり時間をさかれました。
そこを踏まえ、俺、~だぜ、~だ、~しろ、また口調を崩すことでよりリアリティを出すこと、そこが課題となりました。キャラクター性、ドラマ性により重きを置いて、催眠体験するのが「黒つるばみの監獄」のコンセプトとなります。
今回のライターは深い霧に包まれた古城のライターとは違い、チーフシナリオライターのかほく麻緒が担当します。(今までの作品もシナリオ、PVやアフターストーリーを監修や執筆しています)
舞台が違う他にも、作品じたいのテイストもまた甘味処や深い霧に包まれた古城とは変わっています。前作が最初から最後まで夢のような現実離れした雰囲気に包まれていたのと違い、今作は、最初から鈍色。そこで繰り広げられる囚人の少年のやりとりは、被虐性を帯びつつ、とてもエロティックにしあがっています。
今回は、古城よりも、より頭の中でイメージをふくらませやすいシチュエーション、シナリオになっていますので、いまいち執事にはノレなかったという方もチャレンジしていただければ幸いです。