視聴音声も公開し、制作サイドは一段落した、催眠体験のできる(かもしれない)ドラマCD、感応時間シリーズ。
今回の収録時間はフリートーク含め四十分超過。やたら現実的なフリートークも健在です!
初回プレス盤の特典も大体決まり、発売を待つだけとなった、この感応時間。
キャストの演じ方、聞き方も普通のドラマCDと違って、手探りだらけ。この制作裏話を、これから不定期でお届けしちゃいます!
リスナーとして、一番楽しめる聞き方は、「ぼうっと聞く」。
これだけです!
添い寝してくれる彼がとりとめもないことを語ってくれる、そのくらいの気軽さで、ラフに聞いてください。
BGMはありません。
後半にかけて、どんどん執事がゆっくりと、そして妖しく語りかけてくれます。その声に耳を澄ますだけで、声がどんどん心地よくなっていくことでしょう……。
個人的にはこの浮遊感、頭の片隅が痺れるような感じがとても気持ちいい! 皆様が同じように感じられるとは限りませんが、是非ご体験くださいませ。
今作、「深い霧に包まれた古城」の執事はたいそうリスナーであるお嬢様ラブ。(※今回、甘味化シチュエーションは皆無ですので、期待してくださった方には申し訳ありません!)
基本的にはそれだけで、物語性はほぼありません。
困難が起こり、解決し、結ばれるというような一般的なお話とは構成から異なっておりますので、その点だけはご注意を。集中して言葉の意味を考えながら聞くより、リラックスしながら、雰囲気やニュアンスをなんとなく感じ取るくらいの気構えの方が楽しめるはず。
少しだけ技術的なことを語ると、深い霧に包まれた古城はダミーヘッドマイクによる収録で、近づいているときや高揚しているときのブレスも基本的に残しているので、とても臨場感があります。本当はもうちょっとゆっくりと語ってもらうほうが、催眠誘導に適しているのですが、ダミーヘッドマイクを中心に動き回りながらの収録なので、ゆっくり喋るのがとても難しい! この速度が限界でした。他にも、ダミーヘッドマイクは正面の声が聞こえにくい特性があるので、少し右か左に寄って語りかける必要があったり、首もとから囁いているように聞こえるためにはしゃがまなければいけなかったりと、大変だけれど、なかなか面白い器材でした。
さて、催眠音声は、眠くなるものだとか、瞑想だとか、Hなものだとか、いろいろな情報、考えがあります。そしてそれは、基本的にはどれも間違っていません。というのも、催眠誘導し、暗示を用いる過程で一番効を奏するのは、結局、聞き手の思い込みだからです。怖いもの、怪しいもの、危険なものだという認識だと、当然悪い影響を受けやすくなりますし、そんな催眠にかかった方にとっては、やっぱり催眠は危険なものだった……ということになるでしょう。
しかし、催眠は特殊な技術ではないし、誰でも気軽に楽しめるものです。
そういった関係上、「深い霧に包まれた古城」では、前作でやや唐突だった注意書きの部分や導入を何度も改稿しました。そもそもこの注意書きはあくまで本編ではないので、本編を削らないように必要な部分だけ残したのですが、逆に説明足らずで、唐突感、不安感を煽るものだったかもしれません。
今作の最終稿にもっとも近いバージョンでは、執事はあなたにこう語りかけます。
いつものようにお嬢様に申し上げたい点がいくつかございます。
お嬢様もご存知のように私の声には、人の感覚を操る不思議な響きが混ざっております。
有り体な言い方をすれば。そう……催眠。
お嬢様は、私の声を聞いているうちに、やがて深い催眠状態に入ってゆきます……。催眠状態に入ると、ドキドキしたり、眠くなったり、体が熱くなったり、動かなくなったり……、体がいつもと違う状態になることもあります。
ですが、ゆめ心配なさることのなきよう!
これはあくまで夢の中。そう、夢の中の話でございます。
ですからお嬢様は、安心して私の声に耳を傾け、その身を。その心を。お預けになればよろしいのです。
私の声を何度もお聞きいただくことで、お嬢様の感性はどんどんと高まり、深い催眠状態へ入りやすくなってゆきます。
それはとても楽しく、素敵で、そして……気持ちのいいことです。
ですから安心して私の声に耳を傾けてください。
もしも催眠の途中でからだが動きにくくなったりしても、驚かなくても大丈夫です。
それはお嬢様の素晴らしい感受性ゆえに起こってしまう出来事。
何も恐れることはございません。
最後には私が催眠を解除いたしますので、聞いている途中で体に不思議なことが起こっても、その感覚に驚かず、むしろその体験を楽しんでくださいませ。
催眠が解けたら……あなたはちゃんと元通りのあなたに戻れるのですから。
そう。とてもいい子ですね。
期待に胸をふくらませ頬を上気させているお嬢様の顔……。とても魅力的ですよ……。
こうして目をつぶれば、お嬢様の高鳴りが聞こえてきそうです。
さあお嬢様、催眠にかかるには、どうすれば良いかご存知でしょうか?
それは、リラックスした状態をつくることが最も重要です。
部屋を暗くしてベッドに横になるなど……、眠ってしまってもいい場所……眠っても問題の無い状況で、私の声と導きに従って……徐々に……そう、ゆっくりと……体の力を抜いていってください。
あまりの心地よさに、うとうとされることもございますが、そんなときは、そのままぐっすりと、お休みになっていただいてもかまいません。
目が醒めた時には、催眠は解けております。
催眠は誰でも気軽に楽しめるものですが、その性質上、運転などをしているときには、私の声は聞かないでください。
また、心に重い疾患を抱える場合や、重度の病気を患っている場合には、医師に相談した上での利用をお勧めします。
お嬢様には気持ちの良い状態で催眠を受けてもらいたいですからね。
これは私とお嬢様との約束ですよ。
ところが、他にも加筆を重ねたこともあり、軽く収録予定時間をオーバーしてしまう見込みになりました。
本編とはあまり関係のないこの部分で収録時間を超えてしまうのは、本意ではありません。
では、このパートがどうなったのか? それは実際の製品でお確かめください(笑)
そもそも催眠とは何ぞや? という方は、紳士淑女の催眠学講座をご覧ください。
他にも前作と異なり、多少細かくトラックをわけたり、言葉の多用などに工夫しております。これらの心理誘導や暗示に関する催眠の技法については、またの機会にしたいと思います。